会計監査のアプローチ

会計監査においては、会計監査人等の外部監査人だけでなく内部監査人と連携を蜜にとって行う必要があります。
会計監査における要点や内部監査との関わりについて、説明します。

会計監査と内部監査

1.欧米における会計監査と内部監査

欧米における内部監査のこれまでの歴史を振り返ると、公認会計士が内部監査実務の発達に貢献したことが特徴として挙げられます。すなわち、欧米では、大手会計士事務所等で実務経験を積んだ公認会計士が、数多くの一般事業会社や金融機関の内部監査部門に就職し、会計監査のアプローチが内部監査実務の随所に注入されていった経緯があります。
さらに、会計監査のアプローチ自体も、企業の大型倒産に絡む多額の訴訟等、幾多の困難を経て進化し続け、かかる進化がまた内部監査に影響をおよぼすといった形で今日にいたっています。

一方、我が国では、特に大手金融機関等では、ここ数年で内部監査士や米国公認会計士等の資格者も配置され、また海外拠点を通じて欧米の内部監査の手法を取り入れてきつつあります。
しかしながら、例えば、財務報告関連項目の内部監査や公認会計士が行っているような監査調書の整備は必ずしも十分になされているとは言えません。

そのため、内部監査の機能を充実させるために、会計監査のアプローチについて、学習することは意義のあることです。

2.会計監査の特色

会計監査は、財務諸表監査とも言い、その目的は財務省表の適正性を証明することであり、内部監査よりも目的は狭いです。
例えば、内規を逸脱するトレーディング取引がいくつも発生した場合でも、財務諸表監査上は、かかる取引が会計上適切に記帳され評価されていれば、とりあえず財務諸表の適正性の観点からは問題視なれない可能性があります。

会計監査では、内部統制の有効性の検証や不正・誤謬の摘発は、最重要の目的ではありません。財務諸表の適正性を証明する目的の下で、必要に応じて内部統制を理解把握したり、その有効性を評価したりするものです。
会計監査で用いられる評価の基準は、一般に構成妥当と認められた会計原則です。一方、内部監査では、その他、法令、規則、当局のガイドライン、社内の各種規則の他、ベスト・プラクティスなども評価の基準に含まれてきます。

会計監査の大原則の1つに、「二重責任の原則」があります。これは、財務諸表の作成責任は、あくまで会社の経営者にあり、会計監査人の責任は、その財務諸表の会計原則への準拠性を証明する責任のみ負うとする原則です。
この原則は、内部監査にも当てはまります。すなわち、適切な内部管理体制を構築し、運用するのは、経営陣や被監査部門等の責任であって、内部監査部門の責任は、独立した立場から内部管理態勢の有効性を検証していくことです。

 

会計監査における監査要点

監査要点とは、監査人が監査業務の実施によってたっせいしなければならない目標のことを言います。
会計監査で「監査要点」と言えば、一般的に次の項目を意味します。

  • 実在性
    資産及び負債が実際に存在し、取引や会計事象が実際に発生していること
  • 網羅性
    計上すべき資産、負債、取引や会計事象を全て記録していること
  • 権利と義務の帰属
    計上されている資産に対する権利及び負債に関する義務が会社に帰属していること
  • 評価の妥当性
    資産及び負債を適切な価額で計上していること
  • 機関配分の適切性
    取引や会計事象を適切な金額で記録し、収益及び費用を適切な機関に配分していること
  • 表示の妥当性
    取引や会計事象を適切に表示していること

監査要点の重要性は、財務諸表の科目によって変わってきます。
例えば、負債サイドでいうと退職給与引当金では全従業員に対する引当金が計上されているかという網羅性が重要になってきます。これに対して、資産サイドでは、実在性や評価の妥当性が重要です。

 

内部監査部門と外部監査人の間の連携

内部監査部門長は、会計監査人とのコミュニケーションを蜜にすることが期待されます。
そのために財務諸表監査のアプローチをよく理解することが望まれます。少なくとも、企業会計審議会の監査基準、日本公認会計士協会の監査実務指針や銀行等監査特別委員会及び業種別委員会の委員会報告各号等の理解は必須と考えられます。

内部監査人と外部監査人は、連絡を蜜にとり、内部監査と外部監査の連携を図ることで、双方の監査がより有効に実施できると考えられます。
内部監査人の属する内部監査部門と外部監査人との間の連絡事項には、例えば、次のものが挙げられます。

  • 重要なコントロールの弱点
  • 誤謬及び不当事項
  • 違法行為
  • 経営陣の判断と会計上の見積り
  • 重要な監査上の調整
  • 経営陣との意見の不一致
  • 監査の実施にあたって直面した困難

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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