自己査定の内容-債権の分類方法(保証等による調整等)

【金融検査マニュアルのチェック項目】

  • 自己査定基準の適切性の検証

    保証等により保全措置が講じられているものについて、以下のとおり区分し、優良保証等により保全されているものについては、非分類とし、一般保証により保全されているものについては、Ⅱ分類とする。

  • 自己査定結果の正確性の検証

    一般事業法人による保証については、例えば、当該会社の取締役会において当該保証の承認手続が行われていないなど、手続不備等がある場合は、保証とはみなされない
    なお、自己資本比率規制上のリスクアセットを意図的に削減するために行われる保証等及び決算期末日における不良債権額を意図的に減少するために行われる保証等で、当該保証等の期間が基準日から翌決算期末日を超える期間となっていない場合には、当該債権は保証等により保全されているとはみなされない。

保証により保全措置が講じられているものについては、金融検査マニュアルに基づいて次のとおり区分することが求められています。
優良保証により保全されているもの・・・非分類
一般保証により保全されているもの・・・Ⅱ分類

信用力のある親会社による子会社、関係会社への決算期直前の保証など、銀行側にとってリスク・アセット削減の観点から有利となるようになされている保証については、その保証の妥当性を欠くためその経緯を十分に検証し、疑義がある場合は、対象外とすることについては、十分に留意すべきです。

1.優良保証等

【金融検査マニュアルのチェック項目】

  • 自己査定基準の適切性の検証
    イ.信用保証機関の保証、金融機関の保証、複数の金融機関が共同して設立した保
      証機関の保証、地方公共団体と金融機関が共同して設立した保証機関の保証、
      地方公共団体の損失補償契約等保証履行の確実性が極めて高い保証をいう。
      ただし、これらの保証であっても、保証機関等の状況、手続不備等の事情から
      代位弁済が疑問視される場合及び自行(庫・組)が履行請求の意思がない場合
      には、優良保証とはみなされない。
    ロ.事業会社の保証については、原則として金融商品取引所上場の有配会社又は店
      頭公開の有配会社で、かつ保証者が十分な保証能力を有し、正式な保証契約に
      よるものを優良保証とする。
    ハ.住宅金融公庫の「住宅融資保険」などの公的保険のほか、民間保険会社の「住

      宅ローン保証保険」などの保険、等をいう。

     

  • 自己査定結果の正確性の検証
    上記に掲げる保証が優良保証とされているかを検証する。
    イ.公的信用保証機関とは、法律に基づき設立された保証業務を行うことができる
      機関であり、信用保証協会、農林漁業信用基金・農漁業信用基金協会等であ
      る。

      なお、公的信用保証機関の保証の種類によっては保証履行の範囲が100%では
      ないものがあることに留意する。
      以下の場合は、「保証機関等の状況、手続不備等の事情から代位弁済が疑問視
      される場合又は履行請求の意思がない場合」として、優良保証とはみなさない
      ものとする。
     (イ)保証機関等の経営悪化等の理由から、代位弁済請求を行っていない場合又
        は代位弁済請求を行っているが代位弁済が受けられない場合(ただし、上
        記イの公的信用保証機関を除く。)
     (ロ)保証を受けている金融機関が代位弁済手続を失念あるいは遅延する等の保
        証履行手続上の理由により、保証機関等から代位弁済を拒否されている場
          合
     (ハ)その他保証を受けている金融機関が保証履行請求を行う意思がない場合

    ロ.事業会社の優良保証については、金融商品取引所上場の無配会社又は店頭公開
      の無配会社で無配の原因が一過性のものであり、かつ、当該会社の業況及び財
      務状況等からみて翌決算期には復配することが確実と見込まれる場合で、保証
      者が十分な保証能力を有し、正式な保証契約が締結されている場合は、優良保
      証と判断して差し支えない。
    ハ.住宅融資保険以外の公的保険としては、貿易保険制度による「輸出手形保険」
      及び「海外投資保険」がある。

公的信用保証期間の保証つきであっても、金融機関の善管注意義務違反や約定書の不備などがある場合には、代位弁済の否認の懸念が発生するため、優良保証としての取扱を除外されることから十分に注意する必要があります。
代位弁済が否認される懸念がある保証は、優良保証として取り扱うことができません。

 

2.一般保証

【金融検査マニュアルのチェック項目】

  • 自己査定基準の適切性の検証
    優良保証等以外の保証をいう。

    例えば、十分な保証能力を有する一般事業会社(上記1.優良保証等 「自己査定基準の適切性の検証」の□を除く。)及び個人の保証をいう。

  • 自己査定結果の正確性の検証

    上記に掲げる保証が一般保証とされているかを検証する。

    保証会社の保証能力の有無等の検証に当たっては、当該保証会社の財務内容、債務保証の特性、自己査定、償却・引当、保証料率等の適切性等を踏まえた十分な実態把握に基づいて行う。
    また、保証が当該金融機関の子会社によるものである場合において、例えば、当該子会社が親金融機関等から支援等を受けている場合には、経営改善計画の妥当性や、その支援等を控除した場合等の状況についても踏まえることに留意する。

一般保証に関しては、「金融検査マニュアルに関するFAQ」の中で次のように説明されています。

一般保証に関する金融検査マニュアルにおけるFAQ

Q:保証が当該金融機関の子会社による場合において、「その支援等を控除した場合等の状
  況」とは具体的にはどのようなことですか。
  また、一般保証と判断する上で、それをどのように踏まえるのですか。
A:保証能力の検証に当たっては、当該事業会社の実態を十分に把握することが必要です
  が、保証が子会社によるものである場合には、仮に親会社からの支援等がなかった場
  合の当該会社の状況を勘案することが、十分な実態把握につながる場合も想定される
  ため今回例示したものです。
  なお、「支援等」には保証料の補給や増資、その他実質的な支援に類似する行為を想
  定していますが、保証能力は、これらの実態を踏まえ総合的に勘案し判断することに
  なっています。

 

3.保証予約及び経営指導念書

【金融検査マニュアルのチェック項目】

  • 自己査定結果の正確性の検証

    一般事業会社の保証予約及び経営指導念書等で、当該保証を行っている会社の財務諸表上において債務者に対する保証予約等が債務保証及び保証類似行為として注記されている場合、又はその内容が法的に保証と同等の効力を有することが明らかである場合で、当該会社の正式な内部手続を経ていることが文言その他により確認でき、当該会社が十分な保証能力を有するものについては、正式保証と同等に取り扱って差し支えないものとする。

保証者が上場の優良企業であっても、正式な保証契約に基づく保証でなければ優良保証として扱うことはできません。
一般事業会社の保証予約や経営指導念書を一般保証として取り扱うことが可能か否かについては、当該文言の内容や差し入れするに至った経緯等を十分吟味して正式保証と実質的に同様の効果を生ぜしめることが可能か、検討する必要があります。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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