業務別内部監査のアプローチ(業務共通)

主な業務について、監査対象の組織や業務(被監査部門等)に対して内部監査をどのように行っていくのか、内部監査の着眼点を説明します。

各業務に共通するアプローチ

各業務に共通するアプローチについて、次のような着眼点を持って対応する必要があります。

1.業務を知る

個別の部署別内部監査の実施については、所管する各機能のプロセスを十分に理解、把握した上、ポイントを絞って行うことが重要です。そのためには、次の点を確認する必要があります。

  • 当該部署の業務分掌
    (→組織規程等のチェック)
  • 当該部署の主管者の権限と責任
    (→職務分掌規定等のチェック)
  • 当該部署の業務プロセス
    (→業務規程、業務マニュアル等のチェック)
  • 当該部署の業務施策、業務計画
    (→前年度までの過去数か年の施策・計画とその結果及び本年度の計画と進捗状況報告のチェック

内部監査の担当者は、上記の点を確認することによって、監査対象とする部署が何を目的・目標として、どのような業務を行っているのか理解するように努めます。
現場のことは、現場の者が一番知っていますが、内部監査の担当者は、第三者の眼として、当該業務について、「普通の人が普通に見た場合は、こうではないか?」といったコモン・センスを持って質問できる程度の基本的な業務知識が求められます。

業務プロセスは、次のような基本ユニットの集合体あるいは複合体としてとらえることができます。監査の対象となる組織あるいは、業務にこのモデルを当てはめた場合、それぞれの構成要素が明確かどうかを確認する必要があります。

【業務処理プロセス:基本モデル】

  • 何を目的として(業務目的)
  • 何をもとに(入力
  • 何と比べて(参照情報)
  • 何をもたらすように(出力)
  • 何を行っているのか(業務処理)
  • 適切な業務処理がなされるようにどのようにコントロールしているか(統制手続)

特に、大規模な組織変更の実施後などでは、なぜ当該部署でその業務を担当しているのか理解できないような必然性の低い業務を行っているケースが見受けられます。
また、過去の経緯等から仕方なく当該部署で担当している業務を持っていたり、部署の看板は、何度も変わったものの担当者の業務事態はずっと変わっていないこともあります。
このような業務の実態を注意深く調べて把握することが重要となります。

2.問題点を探る

業務自体を理解した上で当該部署の問題点の所在、どこにどのような問題があるかを把握します。そのためには、次の監査手続が有効です。

【当該部署の問題点、課題は何か?・・・情報を入手する】

  • 当該部署の主管者等に対するヒアリング
  • 経営陣、関係部署からの情報入手
  • ヒアリング内容及び関連書類の通査・閲覧と分析的手順

 

特に、内部監査の事前調査や実査の初期段階で、当該部署の主管者に担当業務の概要と併せて「当該部署の問題点・課題」についての新規を質問することも重要です。
同様に当該部署の主要な業務担当者にも担当業務・当該部署の問題点を質問すると、立場による温度差、認識の違い等が現れることもあり、実態把握に近づくことができます。
また、経営陣の当該部署に対する認識(問題点を含む)を事前情報として入手しておくと良いです。

3.他の部署との関係

さらに基本的なポイントとなるのは、内部監査の対象となる部署(被監査部門等)と関係する他の部署との繋がり具合がどうなっているか検証することです。

業務プロセス上の繋がり方、権限と責任の範囲、牽制機能のかかり方がどうかについて確認を行うことが重要です。
企業の中には、伝統的にいわゆる「縦割りの組織構造」となっている場合が多いため、部署と部署の間に責任の所在が曖昧なエアポケットがないか、内部監査の「横串機能」を意識して監査を進める必要があります。
例えば、フロント・ミドル・バックの各機能を俯瞰して見た場合に、当該部署や当該業務がどのような位置づけにあるかということです。

金融検査マニュアルが公表された当初、組織や権限について数多くの問題点が指摘された理由の1つとして、従来の金融機関の「縦割り」の組織構成に対し、当局検査が「横割り」である管理態勢の切り口であったことが挙げられます。
現在、多くの金融機関では、金融検査マニュアルに従って各リスク所管部署が定められていますが、現実の当該部署の業務分掌には、金融検査マニュアルの趣旨からすると両立しない機能・業務も担っている可能性があります。
この点は十分に注意が必要です。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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