主要な監査手続のポイント(ヒアリング)

内部監査で用いられる主要な手続のうち、特に重要な次の監査手続のポイントをご紹介します。

  • ヒアリング(質問・確認)
  • 通査・査閲
  • ウォークスルー(視察)
  • 分析的手続

ヒアリング(質問)

監査対象項目について、被監査部門等に紹介し、得られた説明・回答の首尾一貫性やその他の検証結果との整合性等を検討する監査手続です。

ヒアリングの意義

広義のヒアリングには、面談やインタビューのみならず、書面による紹介や確認、アンケート調査等も含まれます。

ヒアリングの良否によって、内部監査の品質、深度は相当異なります。そのため、内部監査の担当者には、ヒアリングの結果を他の監査手続と組み合わせて被監査部門等による説明・回答の妥当性を判断するノウハウと経験が求められます
例えば、ヒアリングによって得られた融資の新商品開発に関する説明・回答内容について、稟議書や契約書を通査・閲覧して事実を確認したり、あるいは分析的手続で融資新商品契約高・残高の変動を分析することによって、整合的かどうか問題点の有無を検証することになります。

監査の基本は、「聞くことである」と言われます。よく会計監査論の教科書に出てくる話ですが、英語で監査を意味する「audit」は、オーディオ(audio)と同語源で、「聞く」動作を基本的に意味しているからです。

ヒアリングのポイントとして、相手を安心させて、進んで情報提供する気持ちになり、内部監査に協力的な雰囲気を醸成することが必要です。
反対にヒアリングが上手くいかない場合には、内部監査に対する反感、情報の出し惜しみや虚偽の情報提供をすることになる原因となってしまいます。
必要なことを的確に聞くことができるかどうかは、監査を担当する能力を図る上で重要な評価尺度とされています。そのため、いかに相手の問題意識や本音を聞き出すことができる技術を日々磨くことが必要となります。

ヒアリングのプロセス

準備

ヒアリングの実施に先立って、相手方についてできるだけ多くを知っておく必要があります
また、ヒアリングで達成すべき目標をあらかじめ設定し、その目標が達成できるように質問項目を準備しておくことが望まれます。

スケジューリング

ヒアリングの相手方、内部監査の担当者の双方にとって都合の良い日時と場所を設定します。
なお、就業時間間際の時間帯、長時間のヒアリング、業務の繁忙時間帯のヒアリングは、極力回避することが望まれます。

相手方のエリア内でヒアリングを行った方がよりリラックスして本音を引き出しやすいメリットがあります。
また、同席者は極力少ない方が遠慮なく実態を聞き出しやすい傾向がありますので1対1で行うことがベストですが、内部監査の担当者の思い込みや知識不足による聞き違いを回避するため、内部監査の担当者は、複数でヒアリングした方が良いでしょう。

開始

内部監査の担当者は、ヒアリングの目的、結果がどのように使用されるか相手方に丁寧に説明します。

実施

ヒアリングの実施に際しては、次の点に注意する必要があります。

  • 威嚇するような態度は避ける
  • 批判の言葉は、後にとっておくか、本当に必要なとき以外口にしない
  • 相手の抱える問題点に十分な関心を示す
  • 相手方の発言に敬意を持って耳を傾ける
  • 言葉に出ないものの態度などに現れるニュアンスを敏感に察知する
  • 相手方の発言の内容を理解していることを示す(あいづち、要約の質問 等)
  • 相手方の発言で不明な点、理解しがたい点は、十分に確認する
  • 結論を急がない(誘導しない)

質問

質問の仕方にもスキルが必要となります。

  • 5W1Hで始まる質問が好ましいです
    (「はい/いいえ」だけのクローズドクエスチョンは、なるべく避ける)
  • 相手を誘導する質問をしない

終了

  • 約束した時間を引き延ばさない
  • 肯定的な態度で面談を終えるように努める

記録

  • できるだけ速やかに記録する
  • ICレコーダーの利用は、相手に圧迫感、威圧感を与える可能性がある
    また、録音した音声を書面化するのは、時間がかかるので注意が必要です

確認

内部監査の担当者が被監査部門等の取引相手先(外部の関係者)に直接照会し、文書(又は口頭)による回答を当該取引先から直接入手する監査手続です。

確認は、質問の一種としてとらえられますが、外部から直接監査証拠を入手するため、強力な監査手続となります。
例えば、ある債務者に対して貸出金残高について確認を行ったり、証券会社に対して保護預かりとしている証券の残高について確認を行ったりします。
確認には、回答を必ず要求する「積極的確認」と、確認内容に相違がない場合には回答を要求しないで回答がないことをもって内容に相違がないことを確認する「消極的確認」があります。

アンケート調査

被監査部門の担当者、関係する部署の役職員、外部のユーザに対して被監査部門等の業務に関するアンケートを取るもので、「確認」の一種ともいえます。

例えば、融資顧客に対して、営業担当者の融資姿勢や態度、回収にかかるバイアス等についてアンケートを行い、アンケート結果から営業担当者の異常な行動、規則違反、営業部門責任者の管理状況などを確かめます。
また、アンケート結果を元に被監査部門等に対して質問等を行うことにより、異常な行動等が営業担当者個人に起因するものであるか、営業部全体としての指示に起因するものかを確かめることにもなります。

ヒアリングでは、対象者の人数や時間に制約がありますが、アンケート調査は、多人数からの見解を得ることができるメリットがあります。
ただし、どのような質問事項を設定するかによって回答結果は、異なってきますので内容は十分に練る必要があります。

外部の専門家への質問、照会

監査対象に関連する各種好評データ又は専門書等の参照、弁護士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、アクチュアリー等の専門家への問合せや意見書の入手等を監査手手続としてとらえることもあります。

 

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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