個別の問題点-バーゼルⅡの信用リスク管理態勢

【金融検査マニュアルのチェック項目】

バーゼルⅡの信用リスク管理に関しては、採用手法に応じた適切な態勢が整備されているか。
なお、詳細については別紙の「標準的手法の検証項目リスト」及び「内部格付手法の検証項目リスト」に基づき検証することとする。

バーゼルⅡの信用リスク管理に関しては、業態毎に定められた金融庁のいわゆる自己資本比率告示(例えば、銀行の場合は、金融庁告示19号「銀行法第十四条の二の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」)において、採用方法(標準的手法、内部格付手法)に応じて詳細な規定が設けられています。

本チェック項目は、この自己資本比率告示の規定、さらに、内部格付手法の場合には、金融庁の承認した内容に従った信用リスク管理態勢が整備されているかどうかを検証することになります。

検証項目は、次のとおりですが、特に、内部格付手法採用行の検証項目リスト冒頭において「内部統制」が示されていることが着目されます。


【金融検査マニュアルのチェック項目】

(ⅰ)標準的手法採用行

イ. 外部格付の取扱い
   リスク・ウェイトの判定に当たり、あらかじめ、適格格付機関の格付又はカントリー・リスク・スコアの使用基準を設け、適切に用いているか

ロ. リスク・ウェイトの適用
   エクスポージャーが適切に区分され、当該区分に応じた適切なリスク・ウェイトが適用されているか。また、オフ・バランス取引、派生商品取引及び長期決済期間取引の与信相当額について適切に算出されているか。

ハ. 信用リスク削減手法の利用
   信用リスク削減手法を用いる場合に、適格金融資産担保が用いられているか。
   貸出金と自行預金を相殺する場合、保証又はクレジット・デリバティブを信用リスク削減手法として用いる場合は、適切に用いられているか。

ニ. 証券化エクスポージャーの取扱い
証券化エクスポージャーのうち、自己資本控除とすべき無格付の部分は自己資本控除となっているか。

 

 

(ⅱ)内部格付手法採用行

イ. 内部統制
   取締役会等、信用リスク管理部署及び監査部署は、内部格付手法を用いて自己資本比率を算出するに当たって求められる役割と責任を適切に果たしているか。

ロ. 信用リスク・アセット額の算出
   リスク・アセット区分に応じて適切に信用リスク・アセット額を算出しているか。

ハ. 内部格付制度の設計
   事業法人等向けエクスポージャーについて債務者格付と案件格付からなる内部格付制度を設けているか。ただし、特定貸付債権についてスロッティング・クライテリアを適用している場合は、期待損失率に応じた内部格付制度を設けることができる。
   リテール向けエクスポージャーについて債務者及びエクスポージャーに係る取引のリスクに基づく、これらの特性を考慮した内部格付制度を設けているか。同様のリスクを有する債務者及びエクスポージャーに対して一貫して同一の格付を付与し、又は同一のプールに割り当てることを可能とするように、同一の格付及び同一のプールの定義及び基準を十分に詳細に規定しているか。
   債務者及びエクスポージャーの種類により異なる格付の基準及びプールへの割り当ての基準並びに格付の付与及びプールへの割り当ての手続を適用する場合は、不整合な点がないか監視するとともに、一貫性を向上するよう適時に格付基準を変更しているか。

ニ. 内部格付制度の運用
   事業法人等向けエクスポージャーについては、1年に1回以上、債務者格付及び案件格付を見直しているか。また、リテール向けエクスポージャーについて、1年に1回以上の割合でプールの損失特性及び延滞状況を見直しているか。
   事業法人等向けエクスポージャー及びリテール向けエクスポージャーに関するデータを適切に保存しているか。自己資本の充実度を評価するためのストレス・テスト及び少なくとも緩やかな景気後退のシナリオの効果を考慮した有意義かつ適度に保守的な信用リスクのストレス・テストを定期的に実施しているか。

ホ. 格付の利用
   格付並びにPD及びLGDは、与信審査、リスク管理、内部の資本配賦及び内部統制において、重要な役割を果たすものであるか。
   また、自己資本比率算出のために使用するPD又はLGDと与信審査、リスク管理、内部の資本配賦及び内部統制のために用いる推計値が相違する場合は、信用リスク管理指針に当該相違点及びその理由を記載しているか。

ヘ. リスクの定量化
   PD、LGD及びEADを推計(事業法人等向けのエクスポージャーのLGD及びEADの推計については先進的内部格付手法採用行に限る。)するに当たり、推計に関連する全ての重要かつ入手可能なデータ、情報及び手法を用いているか。
   ただし、内部データ及び外部データの利用は、当該データに基づく推計値が長期的な実績を表している場合に限る。1年に1回以上の頻度でPD、LGD及びEADの推計値の見直しを行っているか。予測される推計に誤差が生じることを考慮してPD、LGD及びEADの推計値を保守的に修正しているか。

ト. 内部格付制度及び推計値の検証
   事業法人等向けエクスポージャーについては債務者格付ごとに、リテール向けエクスポージャーについてはプールごとに、1年に1回以上の割合で定期的にパラメータの推計値と実績値を比較し、それぞれのパラメータの推計値と実績値の元離の度合いが当該格付及び当該プールについて想定された範囲内であることを検証しているか。
   パラメータの実績値が推計値を上回る状況が続く場合は、パラメータの推計値を保守的に修正しているか。

チ. 証券化エクスポージャーの取扱い
   自己資本控除とされる証券化エクスポージャー及び信用補完機能をもつI/Oストリップスは控除項目となっているか。
   ただし、証券化取引に伴い増加した自己資本に相当する額は除く。
   証券化エクスポージャーの原資産に対して適用すべき信用リスク・アセッ卜の計算方法が特定されていない場合には、銀行がオリジネーターであるときは標準的手法、それ以外のときは外部格付準拠方式により証券化エクスポージャーの信用リスク・アセットの額を計算しているか。内部格付手法の適用対象である証券化エクスポージャーについて、外部格付準拠方式、指定関数方式又は内部評価方式により信用リスク・アセットを算出することができない場合は、当該証券化エクスポージャーを自己資本控除としているか。

 

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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