利益が発生する販売数を把握する(CVP分析)

あなたの商品をどのくらい販売すれば黒字になるか(利益が出るか)把握してビジネスを行っていますか。
赤字から黒字になるポイントを把握しておくことは、売上目標の設定だけでなく、原価を管理する上でも重要になります。
極端な話、販売額より原価が高ければ売れば売るほど赤字になってしまいます。
そこまで極端な状況ではないかもしれませんが現実的ではない販売数を達成しないと黒字にならない状況では、ビジネスが上手くいっていると言えません。
仮にそのような状況であった場合は、費用を見直す必要があります。

売上高と費用の関係を把握して、赤字から黒字になるポイントを分析することを「損益分岐点分析(CVP分析:Cost Volume Profit Analysis)」と言います。
CVP分析を行うためには、売上高と費用それぞれの数値を把握する必要がありますが、まず費用を2つの費用に分けて把握する必要があります。

変動費と固定費

一つ目は、商品の販売数に応じて変動する費用(「変動費」といいます。)です。変動費は、売上高に比例して増加します。
例えば、商品の原材料、非正規社員の給与などがあります。

二つ目は、商品の販売数に関わらず発生する費用(「固定費」といいます。)です。固定費は、商品の販売数に関わらず一定です。
例えば、設備の定期メンテナンス費用、正社員の給与などがあります。

変動費と固定費を把握するためには、損益計算書の数値を変動費と固定費に分解(固変分解)する必要があります。
固変分解の方法には、次の方法で求めることが可能です。

費目別精査法

各費用の勘定科目を過去の経験に基づいて変動費と固定費に分解する方法です。
比較的容易に分解できるため、実務でも活用されている方法になります。
ただし、変動費と固定費の分解の基準が主観的になりやすい点、同じ勘定科目に変動費と固定費が存在していても
どちらかに分けなければいけない点など正確性に欠けます。

高低点法

過去の業務量が最高の時の総費用点と最低の時の総費用点の2点を結ぶ直線を総費用線としてみなす方法です。
y軸との切片の値が「固定費」となり、直線の傾きが「変動費率」となります。

スキャッターチャート法

過去の業務実績をグラフにして、目測で近似直線を作成する方法です。
y軸との切片の値が「固定費」となり、直線の傾きが「変動費率」となるのは、高低点法と同じです。
目測による作成のため、直線が1種類にならず、客観性に欠けます。

 

最小自乗法

過去の業務実績をグラフにして、数学的に計算して近似直線を作成する方法です。(図の赤い線が一番短くなるような直線を作成します。)
y軸との切片の値が「固定費」となり、直線の傾きが「変動費率」となるのは、高低点法と同じです。
客観的に変動費と固定費を求めることができます。

 

損益分岐点分析

費用が求められたら、売上高、変動費及び固定費の関係をグラフに表すと次のようになります。

※安全余裕率(%)+損益分岐点比率(%)=100%(目標売上高)

売上高線と総費用曲線が交わる点が損益分岐点となり、利益も損失もない状態になります。
損益分岐点の売上高は、次の式で求めることができます。

損益分岐点売上高 = 固定費 / 1ー変動費率

例えば、そばを500円/杯で売っています。1杯作るのに原価が200円必要です。
また、店舗の家賃が毎月6,000円かかります。
この時の損益分岐点売上高は、6,000/1−0.4=10,000円となります。
そのため、そばを20杯(500円×20杯=10,000円)以上売らないと赤字になってしまうことになります。

では、損益分岐点を低下させて、より安全に利益を上げるためにはどうすればいいのでしょうか。
対策として次の3つの方法があります。

損益分岐点を低下させる方法

変動費を削減する

  • 非正規雇用者又は外注から正規雇用者で内製し、効率化を図ります。(ただし、正規雇用者の生産性を向上させる取り組みが必要になります。)
  • 相見積もりを取るなどしてより仕入れ価格が安い取引先に変更します。
  • 大量仕入や取引先をまとめるなどして、ボリュームディスカウントを効かせる交渉を行います。

固定費を削減する

  • 過剰な設備を処分し、稼働にかかるコストやメンテナンス費用を削減します。
  • 従業員を正規社員から非正規社員に変更します。(ただし、生産性が低下しないようにタスクをルーチンワーク化するなど非定型業務を減らすようにします。)

売上単価を上げる

  • 現状の売価を見直し、値上げします。

 

目標利益を計算する

では、目標の利益を出したい場合、どのくらい売上を増やせばよいのか分析するためには、次のように計算することができます。

目標売上高 = 固定費+目標利益 / 1−変動費率

例えば先程の例でいうと5,000円の利益を上げたい場合、次のように分析できます。

6,000円(固定費)+5,000円(目標利益)/1−0.4 ≒ 18,400円

18,400円 ÷ 500円 ≒ 37杯

利益を5,000円あげたい場合は、37杯売れば、達成することができます。

このようにして、目標金額と必要な販売個数を分析することで、コスト削減の必要性などを確認することができます。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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