信用リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト等の構成

信用リスク管理態勢の確認検査用チェックリストの構成、特徴を解説します。

平成19年2月改定金融検査マニュアルにおけるチェックリストの構成

平成19年2月に改定された金融検査マニュアルにおいて、「信用リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト」の構成は、次のとおり変わりました。

 

信用リスク管理態勢のチェックリストのポイント

チェックリスト内容のポイントについて、特徴的な箇所の概要を解説します。

1.戦略目標/リスク管理方針

信用リスク管理態勢を構築するにあたって、その出発点となるのは、自社の「経営方針」であり、その経営方針に即した形で「戦略目標」を設定することが必要とされています。
この「戦略目標」の達成を阻害するリスクに対してどのように対処するか、その方針と内部管理態勢のあり方を定めたものが「リスク管理方針」となります。
経営陣は、「経営方針→戦略目標→リスク管理方針」を決定しなければなりません。

これは、当初の金融検査マニュアルから踏襲された考え方ですが、そらに、バーゼル銀行監督委員会の「銀行組織における内部管理態勢のフレームワーク」、COSOの「内部統制のフレームワーク」に示された内部統制の考え方を踏まえたものです。

2.経営陣/管理者の2層構造

チェックリストの構成として、そのIでは、「経営陣の役割・責任に対する検証項目」をあげ、その次にIIとして「管理者の役割・責任に対する検証項目」を示し、金融機関の信用リスク管理態勢について、この2つの階層(レベル)ごとに問題点の所在を検証することを基本としています。
このチェックリストの構成も当初の検査マニュアルの構成を引き継いでいます。

3.内部規程への関与

金融検査マニュアルにおいて、信用リスク管理部門の管理者が策定した内部規程(信用リスク管理規程)を「取締役会等」が承認すべきことが、経営陣の役割・責任の1項目として明記されています。
改定前の金融検査マニュアルと比較して、経営陣による必要的関与をより強調したものとなっています。

4.フロントの態勢整備

金融検査マニュアルでは、経営陣が信用リスク管理態勢の中で営業店や本部営業推進部門など、「営業推進部門等」(フロントオフィス)に対して、信用リスク管理 を徹底させる施策を直接的に、あるいは、信用リスク管理部門を通じて間接的に指示するものとしています。
このことは、信用リスク管理態勢の整備が経営陣と信用リスク管理部門だけの課題ではなく、組織全体で対処すべきものであることを明確に示しています。

5.ガバナンス重視

取締役会が監査役への報告態勢の整備を行うこと、取締役会等が内部監査の基本的な実施計画(内部監査実施要領及び内部監査実施計画)を承認することをI.の検証項目にあげ、経営レベルでの牽制(チェック・アンド・バランス)が十分に機能する態勢構築が経営陣に求められています。

6.改善活動の主導

経営陣は、信用リスク管理の実効性を分析・評価した上、適時適切に問題点や弱点の改善を実施させる態勢を手動して整備すべきです。
これは、金融検査マニュアルが経営陣の役割・責任について、信用リスク管理態勢の「方針の策定(立案)-内部規程・組織体制の整備(実施)-評価・改善(見直し)」というプロセスを実施することと捉えているからです。

なお、金融検査評定制度では、経営陣が積極的に信用リスク管理態勢の弱点・問題点を把握・分析することによって、信用リスク管理態勢の向上につなげている場合、 これを評定のプラス要因と見ることが示されています。

7.プロセスの見直し

金融検査マニュアルにおいて、経営陣には、自社の信用リスク管理に関して、方針の策定、内部規程・組織体制の整備、評価・改善というプロセスを実施していく責務があるとされています。
さらに、自ら実施するプロセスの有効性を定期的に、又は必要に応じて随時、見直しを行うことが示されています。

金融検査マニュアルは、「体制」の代わりに「態勢」の用語を多用し、リスク管理の実態に着目することが示されてきましたが、平成19年2月の改定以降の金融検査マニュアルでは、さらに、管理態勢に動態的なプロセスを組み込んだ上、「プロセスの見直し」を随所に明示することによって、経営陣がPDCA(PDCI)のサイクルを回し、自律的にかつ前向き(プロアクティブ)に管理態勢を改善すべきであることを強調しています。

8.3部門構成の明確化

金融検査マニュアルが想定する「信用リスク管理部門」とは、「審査部門」、「与信管理部門」、「問題債権の管理部門」の3部門を総称したものです。

9.与信管理部門の確立

以前の金融検査マニュアルでは、与信管理を担う部門として、「与信監査部門」及び「リスク管理部門」が挙げられていましたが、現在の金融検査マニュアルでは、ミドルオフィス機能である「与信管理部門」として整理されています。

10.個別問題点の列挙

金融検査マニュアルのチェックリストでは、Ⅲとして検証すべき主要な個別の問題点を挙げています。信用リスク管理態勢において重要であり、これまで実施された金融検査でも着目されてきた点を具体的に示したものとして、内部監査においても留意すべきポイントになります。

 

資産査定管理態勢の確認検査用チェックリストの構成

平成19年2月の金融検査マニュアルの改定で新設された「資産査定管理態勢の確認検査用チェックリスト」の構成は次のとおりです。

 

資産査定管理態勢のチェックリストのポイント

資産査定管理態勢の確認検査用チェックリストの項目では、その特徴として次の7つのポイントを挙げることができます。

ここでは、特に、「1.資産査定管理の新設」、すなわち、自己査定管理と償却・引当管理を合わせて「資産査定管理」として、その態勢を確認するチェックリストを新たに設けてあることです。これは、基本的に従来の金融検査マニュアルにおける「信用リスク検査用マニュアル」の内容を中心に平成19年2月改定以降の金融検査マニュアルに共通するチェックリストの体系に組み替えたものと捉えられます。
他の6つのポイントは、前述した信用リスク管理態勢の確認検査用チェックリストにおけるポイントと同様になります。

【7つのポイント】

  1. 資産査定管理の新設
  2. 経営陣/管理者の2層構造
  3. 規程・基準制定への関与
  4. フロントの態勢整備
  5. ガバナンス重視
  6. 改善活動の主導
  7. プロセスの見直し

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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