コンプライアンスの本質

1.企業価値への貢献

コンプライアンスを「法令遵守」と同義として捉えてしまうと、どうしても利益追求とは相容れないもの、利益追求に対するブレーキ機能などと誤解しがちです。
しかし、コンプライアンスは、そのように捉えるべきではありません。

コンプライアンスは、社会や顧客からの期待、信頼を踏まえて、独自の倫理規程や行動規範を設定し、役職員に行うべきことを行わせ、許されない行為を行わせないようにする取り組みです。
これにより、中長期的に企業にとっての売上や収益、価値創造の基盤を提供するものです。

そのため、コンプライアンスとは、利益を追求する活動にブレーキをかけるものではなく、表裏の関係にあって、役職員に正しい道のりを指し示すもの、すなわち、企業がビジネスを行っていく上でハンドルのような役割を果たしているものと捉えるのが適切です。

 

2.メカニズム重視のコンプライアンス態勢

企業に必要とされるコンプライアンス態勢とは、具体的にどのようなものか説明します。

金融検査マニュアルに記述されているような統括部門を新設し、コンプライアンス・オフィサーを任命し、コンプライアンス・マニュアルを作成することは、コンプライアンス態勢を構成する重要な要素ではあります。
ただし、これらをコンプライアンス態勢の中心と誤解してはいけません。

コンプライアンス態勢構築にあたっての最も重要なポイントは、次の点です。

  1. 経営陣が主体となって態勢整備を運用を行う
  2. 1.の態勢を機能させる仕組みや強制力を意識的に作り込む

 

企業におけるエシックス(倫理)とは、「ビジネスにおける誠実性」と解されています。
誠実性(インテグリティ)が経営陣に欠けていれば、いくら精緻にコンプライアンスの仕組みを作っても意味がないことは、過去の不祥事件を見ると明らかです。
経営陣は、まずビジネスにおける誠実さの重要性を認識しなければなりません。そして、下から案が上がってくるのを待つのではなく、トップダウンで主体的に組織に誠実さを浸透させる取り組みを行う必要があります。

コンプライアンス態勢の整備に当っては、次の事項が不可欠です。

  • 全ての役職員にコンプライアンスの重要性や内容を認識させる
  • コンプライアンスの内容を実践させる具体的な仕組み(メカニズム)を構築
  • 構築した仕組みを実行させる強制力

例えば、経営陣がとれだけ「コンプライアンスは重要だ」と叫んでも、その取組を下に丸投げしているようでは、コンプライアンスの意識が浸透することはありません。
意識を改めさせ行動させるためには、何らかの強制的な仕組みが必要なのです。組織の上から末端にいたるまで、コンプライアンスの意識を浸透させる仕組みがあってはじめてコンプライアンス態勢は整ったといえるでしょう。
そして、コンプライアンスを浸透させる仕組みこそ、内部統制と位置づけることができます。

コンプライアンスは、内部統制の目的であり、内部統制はこの目的の達成を支える一つのメカニズムなのです。

 

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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