コンプライアンス経営のメリット

コンプライアンスを浸透させ、実践させるメリットとして、以下のようなものが挙げられます。

【コンプライアンス経営のメリット】

  • 良い企業として評価されること
  • 不正等による損失の抑制
  • 経営者に対する責任追及訴訟等のリスクの軽減
  • 従業員の仕事に対する動機づけ

1.良い企業としての評価

コンプライアンス態勢を整備し、適切に運用することにより、市場・社会や顧客から信頼され、良い企業として高い評価を得られるというメリットが挙げられます。

 

2.不正等による損失の抑制

コンプライアンス態勢を整備することにより、不正等による損失の抑制を可能にすることが挙げられます。
不正や不祥事は、組織にそれらを許すような風土・環境がある場合に発生しやすいという性質があります。したがって、本質的なコンプライアンス態勢を確立し、役職員に高い倫理観を注入し、社会からの期待や行動規範で求められる行動を実践させることによって、不正や不祥事の発生しにくい風土を作り上げ、それらによる損失の発生を抑制することが可能となります。

 

3.経営者に対する責任追及訴訟等のリスク軽減

コンプライアンス態勢を整備することにより、経営者自身への責任追及訴訟等のリスクを軽減する効果が挙げられます。
企業がコンプライアンス態勢を構築し、適切に運用していることは、取締役が、会社法等で求められている取締役等の善管注意義務や忠実義務を果たしていることの一つの根拠になりえます。


2000年9月、大阪地方裁判所が大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失事件に対する株主代表訴訟で判決を下しました。
同判決は、現・元取締役11名に総額約830億円もの賠償を命じています。マスコミでは、単に賠償金額の大きさだけがクローズアップされましたが、本判決において本質的なポイントは、リスク管理体制および内部管理体制の構築を取締役の義務と捉えて、その義務違反に対する賠償責任を認めたことにあります。
判決では、「取締役は、従業員が職務を遂行する際、違法な行為に及ぶことを未然に防止する法令遵守体制を確立する義務があり、これもまた、取締役の善管注意義務及び忠実義務の内容をなすもの」、「取締役会上程事項以外の事項についても、監視義務を負うものであり、リスク管理体制の構築についても、それが適正に行われているかを監視する義務がある」として、取締役がコンプライアンス体制やリスク管理体制を構築することを義務とみなして厳しく責任を追及しました。
現在の会社法の規定(法348条3項、4項など)もこの判決の考え方を反映したものと言えるでしょう。


 

4.従業員の仕事に対する動機づけ

従業員に企業の倫理綱領、行動規範などが十分に浸透している場合、不正防止といったマイナス面の発生を防ぐメリットだけでなく、より前向きなメリットがあります。

自社が社会から尊敬される倫理的に優れた企業であること、自らもそれを実践しているという高い意識によって、従業員の仕事への動機づけややる気が高まり、その結果、生産性も高まることです。
また、会社と従業員、従業員同士の絆を強め、会社への帰属意識を高めます。これらが全体として中長期的に企業価値そのものを高めることにつながります。
つまり、独自の企業理念や倫理観を役職員が深く共有している組織においては、次の事項に関してもプラスの効果を及ぼすことが考えられます。

  • 独自の倫理感に基づく役職員同士の連帯感
  • 担当業務に対する役職員の取り組み姿勢
  • 全体として中長期的な企業目標の達成(企業収益の目標も含む。)

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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