利益相反管理態勢

利益相反管理責任者、会社又はグループ関連会社による取引に伴い顧客の利益が不当に害されることを防止するため、必要な態勢整備を行わなければなりません。

利益相反管理は、「会社又はグループ関連会社による取引に伴い顧客の利益が不当に害されることの内容行われる利益相反の管理」です。
また、利益相反管理責任者は、「適切な利益相反管理体制を整備・確立するための利益相反管理全般を統括する責任者」です。

グループ関連会社とは、当該会社又はその親会社もしくは、子会社のほか、当該会社が顧客保護のために利益相反の管理が必要であると判断した会社がある場合には、その会社を指します。

内部規定等の策定

1.利益相反管理規程の策定

利益相反管理責任者は、利益相反管理を的確に実行するための態勢を整備しなければなりません。したがって、まず利益相反管理の適切性、十分性を確保するための規程整備等の手当が必要な業務の所在、種類等を把握する必要があります。

業務遂行する中で、どのようなケースが利益相反取引に該当するのか、また、いかにすれば利益相反取引を未然に防止することができるのかといった事項を等を含め、利益相反管理が適切に行われるために必要な事項を網羅し、管理を行うための組織体制、権限、役割及び方法等について記載されている「利益相反管理規程」を顧客保護等管理方針と整合的なものとして、策定しなければなりません。
また、「利益相反管理規程」の最終承認は、リーガル・チェック等を経て取締役会等が行うことになります。
リーガル・チェック等に関しては、コンプライアンス・チェックを含み、例えば、法務担当者、法務担当部署、コンプライアンス担当者、コンプライアンス統括部門又は社内外の弁護士等の専門家により内部規定等の一貫性・整合性や取引及び業務の違法性について、法的側面から検証することを言います。

2.利益相反管理規程の内容

利益相反管理規程の内容は、当該会社又はグループ関連会社の業務の規模・特性に応じ、法令に基づく利益相反管理の実施方針において定めるべき事項を含め、利益相反管理の適切性の確保についての必要な取決めを網羅し、管理を行うための組織体制、権限、役割及び方法等を明確に定める等、適切に規定する必要があります。
特に次の事項について定める必要があります。

  • 利益相反管理のための組織体制(利益相反管理担当部門又は利益相反管理担当者の設置有無、その権限と役割等を含む。)に関する取決め
  • 利益相反管理を行う者が遵守すべき手続に関する取決め
  • 利益相反管理の状況のモニタリングに関する取決め
  • 利益相反のおそれがある取引の特定に関する取決め
  • 利益相反管理の方法に関する取決め
  • 利益相反管理に関する記録の保存に関する取決め
  • 利益相反管理のために必要な情報の集約に関する取決め
  • 取締役会等に対する報告に関する取決め
  • コンプライアンス統括部門及びっ顧客情報統括管理責任者等との間の連携・情報伝達に関する取決め

 

利益相反管理の実施

1.利益相反管理に係る態勢整備

利益相反管理責任者は、取締役会が定めた顧客保護等管理方針に基づき利益相反管理規程を策定した後、利益相反管理に関する様々な取決めを営業部門を含む利益相反取引に関係しうる役職員にこれを遵守させ、適切な利益相反管理態勢を確保する必要があります。
特に、営業部門からの独立性を確保し、牽制機能を発揮する態勢を整備する必要があります。

2.指導・監督

利益相反管理責任者は、利益相反管理規程に基づき、関係業務部門や営業拠点等に対する指導・監督権限を有し、それらの部門店等の指導・監督を行う等適切に管理する必要があります。

3.利益相反のおそれがある取引の特定

利益相反管理責任者は、業務の中で利益相反のおそれがある取引をあらかじめ特定・類型化するとともに、それを継続的に評価する態勢を整備します。
また、利益相反を特定するプロセスは、会社やグループ内会社等の業務内容、規模・特性を反映する必要があります。

4.利益相反管理の方法

利益相反の特性に応じて、例えば、次のような態勢を整備して、定期的に管理方法の検証が行われている必要があります。

  • 部門の分離(情報共有先の制限)
    情報共有先の制限を行うにあたっては、利益相反を発生させる可能性がある部門間において、システム上のアクセス制限や物理上の遮断を行う等、業務内容や実態を踏まえた適切な情報遮断措置が講じられているか。
  • 取引条件又は方法の変更、一方の取引の中止
    取引条件又は方法の変更、もしくは一方の取引の中止を行うにあたり、親会社又は子会社等の役員等が当該変更又は中止の判断に関与する場合を含め、当該判断に関する権限及び責任が明確にされているか。
  • 利益相反事実の顧客への開示
    顧客に利益相反の事実を開示する場合には、利益相反の内容、開示する方法を選択した理由(他の管理方法を選択しなかった理由を含む)等を明確かつ公正に書面等の方法により開示した上で顧客の同意を得るなど、顧客の公正な取扱いを確保する態勢となっているか。
    また、開示内容の水準は対象となる顧客の属性に十分に適合したものとなっているか。

5.記録・保存

利益相反管理責任者は、業務の中で利益相反のおそれがある取引をあらかじめ特定しておき、当該取引に際して顧客の利益を保護するために実施した利益相反管理の具体的な方法その他情報等について、記録簿等により記録・保存するとともに、一元的に管理し、事後検証が可能な状態にしておくことが求められます。

6.利益相反管理に関するモニタリングの実施

利益相反管理責任者による利益相反管理規程の遵守状況について、モニタリング方法、項目頻度等を定める必要があります。モニタリングにあたっては、関係業務部門や営業拠点等と連携し、現場に過度の負担がかからない効果的な手法を導入する必要があります。
利益相反管理責任者は、関係業務部門や営業拠点等が利益相反の弊害の発生を認識しているにも関わらず、その解消に向けた具体的な取組を行わないことのないよう指導・監督するとともに、必要に応じて抑止行動を取る必要があります。

7.取締役会等への報告態勢

利益相反管理に関する取締役会等(取締役会、各種重要会議、代表取締役、業務執行取締役)への報告手続、内容を書面で明確にする必要があります。定期報告事項については、書面の雛型を作成し、報告頻度を定めることが望まれます。
また、緊急連絡を要する事項、方法(電話連絡、Eメール等による書面の配布、会議の臨時召集等)についても予め定めておく必要があります。

8.監査役への報告態勢

監査役がその機能を十分に発揮できるよう、監査役への報告事項、方法等を定める必要があります。
また、取締役会の指示による能動的な報告だけでなく、監査役の求めによる報告、資料提出等にも積極的に応じることが重要です。

 

評価・改善活動

利益相反管理責任者は、利益相反管理態勢の改善を図るため、その機能状況を検証し、 規程類、組織、情報伝達体制、研修、モニタリング方法等を適宜見直す必要があります。

コンブライアンス統括部門、内部監査部門等からの指摘を踏まえ改善策の立案・実施に取り組むことは当然ですが、利益相反管理責任者が自ら所管業務の実態を把握し、能動的に問題点の改善を図る態勢を定着させることが重要です。
また、利益相反管理責任者は、自らの職務権限を超えるような重要な課題に対処するために、取締役会等への提言機会を確保することも大切です。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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