統制自己評価の手法(CSA)

CSAとは

業務執行部門の担当者、経営者自ら内部統制の有効性を検証、評価することをCSA(Control Self Assessment)といいます。
組織が目指すビジネス目標達成のために能力改善を支援する手法の一つです。

CSAは、様々な定義がありますが代表的な定義の例をご紹介します。

内部監査人協会によるCSAの定義

統制自己評価(CSA)とは、内部統制の有効性が検証され評価されるプロセスである。この目的とは、すべてのビジネス目的が達成されるであろうという合理的な保証を与えるものである。

この定義においては、CSAが「すべてのビジネス目的」のために実施されるものとしており、その対象は広範囲にわたります。例えば、次のような目的が含まれます。

  • 方針、手続、規則の順守
  • 財務諸表の信頼性、資産の保護
  • 利益の最大化、顧客サービスの向上、製品及びプロセスの改良
  • 論理的ビジネス行動

CSAの特徴

  • ラインの従業員が内部統制を評価する
  • 組織内で、内部監査部門の関与なしに実施される
  • 非公式な統制や被監査部門に所属する役職員の参加・協力などの「ソフト」な統制を評定するのに適する
  • ワークショップは、チームに対してリスク評価と内部統制設計を教える目的で利用されることがある

CSAによる責任の所在のシフト

CSAは、以下の表のように内部統制に関連した様々な責任をシフトさせます。
しかし、いずれの方法をとるにせよ、内部統制の責任が経営者にあることに変わりはありません。

【内部監査とCSAの対比】

責任の所在 伝統的な内部監査 CSAアプローチ
ビジネス目的の設定 経営者 経営者
リスクの評価 経営者 経営者
適切な内部統制 経営者 経営者
リスクと統制の評価 内部監査人 ワークチーム
報告 内部監査人 ワークチーム
リスクと統制の評価の検証 内部監査人 内部監査人

 

CSAの実施形式

CSAは、大きく次の2つの形式があります。

1.ワークショップ形式

ワークショップ形式は、設定されたテーマの関係者を集め、数時間かけて自由に意見を出し合って検討・意見集約します。
進行係・記録係の運営により促進(ファシリテート)された会議形式のやり方です。
CSAのテーマ設定には、例えば、次のものが挙げられます。

  • ビジネス目標を達成する最善策を探る目標ベース
  • リスクの識別に焦点をあてるリスク・ベース
  • 統制状況を検討するコントロール・ベース
  • 業務プロセスの合理化を目的とするプロセス・ベース

2.アンケート形式

アンケート形式は、文字どおり設定されたテーマに関する質問事項に対するアンケート調査の回答を取りまとめ、意見集約する形式です。
なお、回答がYes/Noで簡単に答えられるように練られた質問によって、結論を導くことができるよう工夫する必要があります。

アンケート形式は、時間的な制約から集まることができない場合、対象者が多岐に渡る場合、企業文化が開放的でなくワークショップに抵抗感がある場合、経営者層に対するCSAの場合に利用されることがあります。

CSAが適応しない場合

次のような場合は、CSAアプローチを用いることは、不適切だとされています。

  • CSAの参加者がテーマとする領域の専門家、熟練者ではない場合
  • 不正を調査する場合
  • 従業員自らの雇用に関して不安定な状況(自社の合併、買収、ダウンサイジング等)に置かれている場合
  • 従業員のコミュニケーション、開放性、信頼性を評価しない組織風土である場合
  • 経営者がCSAの結果を受け入れるかどうか不安がある場合

 

 

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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