CSRとコンプライアンス

昨今、経済活動のグローバル化、情報化の進展、社会の成熟化・多様化等に伴い、企業活動、 特に環境問題やエネルギー問題、製品・サービスの安全性、雇用のあり方などついて、 社会の関心が高まっています。
企業に期待されているのは、利潤を追求することだけでなく、社会や環境等にも十分に配慮してバランスよく成長を続けることです。
これを、CSR (Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)と言います。
このCSRの考え方が広く浸透しつつあり、企業は、消費者・投資家・従業員・地域社会等の利害関係者(ステークホルダー)の要求や期待に応えて行動することが求められるようになってきたということです。

わが国の産業界でもCSRを積極的に評価し、活用すべきであるとの考え方が広がってきています。
例えば、経団連の「企業行動憲章」(2010年9月改正)や全国銀行協会の「行動憲章」(2005年11月改正)もCSRを踏まえたものに改定されています。

コンプライアンスとCSR活動

コンブライアンスは、企業のCSR活動の中心に位置づけられるものと考えられます。
例えば、わが国独自の倫理法令遵守マネジメント規格「ECS2000」をベースに作成された社会的責任投資ファンドの基準書「R-BEC 001社会責任投資基準」では、投資対象とする企業のCSR活動の評価において、「経営の誠実さ」(インテグリテイ〉 を中心に置いています。全国銀行協会「行動憲章」でも「銀行の公共的使命」に「企業倫理の構築」が含まれ、また「法令やルールの厳格な遵守」が重要項目として挙げられる等、コンブライアンスが重視されたものとなっています。

CSRは、現時点では企業に課せられた法的な責務ではなく、あくまでも企業の自主的な取組みの段階です。その意味で、金融機関のCSR活動に対して監督当局が、活動自体の是非や妥当性を評価することは難しいと言えるでしょう。そこで、監督当局は、「CSR報告」等の記載内容について、保険業法や銀行法などにより監督権限を及ぼし得る顧客・関係者への情報開示義務などの業務運営の適切性の観点から監督することにしています。

 

参考:企業行動憲章

企業行動憲章 一社会の信頼と共感を得るために-

(社)日本経済団体連合会 2010年9月14日改定

企業は、公正な競争を通じて付加価値を創出し、雇用を生み出すなど経済社会の発展を担うとともに、広く社会にとって有用な存在でなければならない。そのため企業は、次の10原則に基づき、国の内外において、人権を尊重し、関係法令、国際ルールおよびその精神を遵守しつつ、持続可能な社会の創造に向けて高い倫理観をもって社会的責任を果たしていく。

1.社会的に有用で安全な商品・サービスを開発、提供し、消費者・顧客の満足と信頼を獲得する。

2.公正、透明、自由な競争ならびに適正な取引を行う。また、政治、行政との健全かつ正常な関係を保つ

3.株主はもとより、広く社会とのコミュニケーションを行い、企業情報を積極的かつ公正に開示する。また、個人情報・顧客情報をはじめとする各種情報の保護・管理を徹底する。

4.従業員の多様性、人格、個性を尊重するとともに、安全で働きやすい環境を確保し、ゆとりと豊かさを実現する。

5.環境問題への取り組みは人類共通の課題であり、企業の存在と活動に必須の要件として、主体的に行動する。

6.「良き企業市民」として、積極的に社会貢献活動を行う。

7.市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体とは断固として対決し、関係遮断を徹底する。

8.事業活動のグローバル化に対応し、各国・地域の法律の遵守、人権を含む各種の国際規範の尊重はもとより、文化や慣習、ステークホルダーの関心に配慮した経営を行い、当該国・地域の経済社会の発展に貢献する。

9.経営トップは、本憲章の精神の実現が自らの役割であることを認識し、率先垂範の上、社内ならびにグループ企業にその徹底を図るとともに取引先にも促す。
また、社内外の声を常時把握し、実効ある社内体制を確立する。

10.本憲章に反するような事態が発生したときには、経営トップ自らが問題解決にあたる姿勢を内外に明らかにし、原因究明、再発防止に努める。
また、社会への迅速かつ的確な情報の公開と説明責任を遂行し、権限と責任を明確にした上、自らを含めて厳正な処分を行う。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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