方針の策定

取締役は、法令等遵守の重要性を認識し、法令等遵守方針を定め、組織全体に周知させることが求められています。

取締役の役割・責任

取締役は、法令等遵守の徹底が企業の信頼の維持、業務の健全性及び適切性の確保のため必要不可欠であることを十分に認識し、法令等遵守を重視する必要があります。
特に、自らの担当する業務に関し留意すべき法令上の問題点を認識し、業務の適法な運営に万全を期すことです。
また、法令等遵守の担当取締役は、企業全体の業務に適用される法令等の内容を理解するだけでなく、法令等遵守の状況のモニタリング・法令等遵守の徹底等の方法を十分に理解し、この理解に基づき当該企業の法令等遵守の状況を的確に認識し、適正な法令等遵守態勢の整備・確立に向けた方針及び具体的な方策を検討する必要があります。

なお、「モニタリング」とは、単に監視するだけでなく、警告、提案、指示など問題の抑止活動も含みます。

 

 法令等遵守方針の整備・周知

取締役会は、「法令等遵守方針」を定め、組織全体に周知する必要があります。「法令等遵守方針」は、法令等遵守(いわゆるコンプライアンス)に関する理念、取組姿勢、態勢整備に関する最も上位の方針のことです。これは、自社の経営方針と整合性を持たせることが必要です。
また、経営上の重要基本文書として取締役会がこれを決定することを前提としており、その上でそれを全社に周知する必要があります。

会社法では、「取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない」(362条4項)として重要な業務執行に係わる取締役会の専決事項を規定しています。
「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制(=取締役のコンブライアンス体制)その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」(同条6号)を挙げています。
これを受けた会社法施行規則100条では、「業務の適正を確保するための体制」として以下のように規定し、その4号で使用人の職務執行にかかるコンブライアンス体制の整備が明記されています。
さらに、「大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、前項第六号に掲げる事項を決定しなければならない」(会社法362条5項)と規定し、いわゆる内部統制システムの基本方針を取締役会が決定することとしています。

会社法施行規則

(業務の適正を確保するための体制)

第100条 法第362条第4項第6号に規定する法務省令で定める体制は、次に掲げる体制とする。

一 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
二 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
三 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
四 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
五 当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制

第2項、第3項(略)

「法令等遵守方針」の形式については、「その名称や形式にこだわらず、記載すべき事項がもれなく明文化され、方針については取締役会、内部規程については、取締役会等の承認を受け、必要のある役職員に周知徹底されているか等、その果たすべき機能が備わっているかを検証する」とし、名称や形式を問わず、それらの内容、実効性が重要であることを強調しています。

 

方針策定プロセスの見直し

取締役会は、定期的に又は必要に応じて、随時、法令等遵守の状況に関する報告・調査結果等を踏まえ、方針策定のプロセスの有効性を検証し、見直しを行う必要があります。

定期的に見直す際の年限については、見直しのプロセスが有効に機能しているかどうかという観点から年限を設定します。定期的に行っていることよりも見直しのプロセスが機能していることが重要です。

有効に機能しているかの検証は、取締役会自身が検証のために必要なすべての具体的行動を行う必要はありません。
例えば、取締役会が指示することで代表取締役や担当取締役を通じ実際の検証のための情報を収集させ、それをまとめて分析したものを検証し、組織体制の実効性を判断するという作業などが想定されます。
取締役会自らの検証だけでなく、検証形態の多様性を求めることができます。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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