内部統制の有効性と限界

内部統制が有効に機能しているかは、幾つかの条件があります。
しかし、内部統制は人に依存することから、その有効性には限界があります。内部統制を適正に機能させるためには、その限界を把握して考慮する必要があります。

内部統制の有効性

内部統制の内容や水準は、企業によって様々ですが、一般的に次の「目的の達成」及び「構成要件の充足」の基準を両方とも満たしている場合には、当該内部統制は、「有効に機能している」とみなされます

目的の達成

  • 業務目的がどの程度達成されているかを取締役会と経営者が把握している
  • 財務諸表が信頼できる方法で作成されている
  • 関連法規が遵守されている

構成要素の充足

  • 5つの構成要素が存在し、かつ有効に機能しているかによって判断される

内部統制の限界

内部統制は、人に依存することから、その有効性には限界があることを十分に認識しておく必要があります。
内部統制の限界には、以下のようなものがあります。

  • 合理的な保証の限界
  • 経営者による内部統制の無視
  • 役職員による共謀
  • 非日常的な業務
  • 費用と効果のバランス

合理的な保証の限界

内部統制には、その定義自体による限界があります。
内部統制の定義では、「目的の達成を合理的に保証する」ものとされています。元々、「絶対的は保証」では、なくおのずと限界を認めているということになります。

経営者による内部統制の無視

内部統制の最終的な責任を負う経営者等がこれを無視する、あるいは、意図的に放置した場合は、どれだけ適切に内部統制が構築、運用されていたとしても、その目的を達成することはできません。
経営者による内部統制の無視によって、重大な不祥事を引き起こした例は、数多くあります。

役職員による共謀

役職員が共謀して不正を行った場合は、内部統制は無力化してしまいます。たとえ、社内ルール上で職責分離していたとしても、担当者同士が口裏を合わせてしまっては、内部統制は機能しなくなります。
例えば、業務担当者と業務実施内容をチェックする上司が結託すれば、どのようなこともできてしまいます。

共謀には、多くの人間が関与するほど企業に与えるリスクの影響度合いが大きくなりますので、この共謀の連鎖に牽制する統制環境と統制手続が必要になります。

非日常的な業務

内部統制は、日常的・定例的な業務活動に対しては、有効に機能するものであったとしても、異例な取扱、特殊・特別な場合、非日常的な活動・事象に対しては、機能しなくなるという限界があります。

特に経験する機会が少なく、業務が特定の部署や人に集中している場合、チェックの目が甘くなりやすく、経営者に情報が届かないまま問題が深刻化する可能性があることに注意しなければいけません。

費用と効果のバランス

経営資源には、常に制限があります。内部統制であっても費用と効果とのバランスを考慮することが1つの限界となります。
いかに内部統制が有効であっても、それにより制御されるリスク低減効果を超える費用が生じてしまうのでは、企業にとって合理的ではありません。

ただし、コンプライアンスの領域いおいては、「経営資源に限界があるため、違法な状態での営業活動もやむをえない」という費用対効果の考えを選択することはできません。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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