経営陣に関する適格性の原則

金融機関がリスク管理やコンプライアンス等の内部管理態勢を構築するには、経営陣の理解と認識が不可欠であることから、金融検査・金融監督では、経営者の適格性が厳しく問われるようになってきており、適格性の原則が銀行法、保険業法で定められています。
経営陣が金融機関経営を行う上で十分な資質と能力を持っているかが改めて問われているわけです。
十分な資質と能力を持った経営陣が、リスク管理に対して無理解であるはずがありませんし、金融当局からの指示がなければ態勢を整備できないということもないはずです。

銀行法7条の2は、「銀行の常務に従事する取締役(委員会設置会社にあっては、執行役)は、銀行の経営管理を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者でなければならない」として、金融機関の取締役等の的確性(Fit and Proper原則)について規程しています。(保険業法8条の2にも同じ旨の規定あり。)
金融庁の総合的な監督指針によれば、ここで規定されている「知識及び経験」及び「十分な社内的信用」とは、次に例示された内容であるとされています。

知識及び経験

  • 銀行法等関連諸規則制や監督指針で示している経営管理の着眼点の内容を理解し実行するに足りる知識・経験を有しているか
  • コンプライアンスやリスク管理に関する十分な知識・経験を有しているか
  • その他金融機関の業務を適切に遂行しうる知識・経験を有しているか

十分な社会的信用

  • 反社会的行為に関与したことがないか
  • 過去・現在において、暴力団員でないか、暴力団と密接な関係がないか
  • 金融商品取引法、銀行法等の違反により罰金刑に処せられたことはないか
  • 禁錮以上の刑に処せられたことがないか
  • 過去、所属する法人等が金融当局より行政処分を受けており、故意又は重過失によりその原因となる事実を生じさせたことがないか
  • 過去、金融当局より解任命令を受けたことがないか
  • 金融機関の破綻時に、役員としてその原因となったことがないか

例えば、問題発生時等においては、取締役等の選任議案の決定プロセス等をチェックし、法令違反等公益を害する行為があった場合など極端なケースの場合には、銀行法27条による解任命令を検討するものとされています。
保険会社の取締役等に関しても保険業法に同様の規程があります(保険業法8条の2)。

(免許の取り消し等)

銀行法第27条

内閣総理大臣は、銀行が法令、定款若しくは法令に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき又は公益を害する行為をしたときは、当該銀行に対し、その業務の全部若しくは一部の停止若しくは取締役、執行役、会計参与若しくは監査役の解任を命じ、又は第四条第一項の免許を取り消すことができる。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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