市場リスク管理態勢の評価・改善活動

取締役会等の経営陣は、評価・改善プロセスを通じて、市場リスク管理態勢の実効性を自律的に高めていく必要があります。

評価・改善活動のプロセスは、金融検査マニュアルの各リスク管理態勢のチェックリストに共通するフレームワークの特徴的なチェック項目です。
金融検査マニュアルでは、経営陣の役割・責任についてリスク管理態勢の「方針の策定(立案)-内部規程・組織体制の整備(実施)-評価・改善(見直し)」というプロセスを実施することと捉えています。

分析・評価

1.市場リスク管理の分析・評価

【金融検査マニュアルのチェック項目】

締役会等は、監査役監査、内部監査及び外部監査の結果各種調査結果並びに各部門からの報告等全ての市場リスク管理の状況に関する情報に基づき、市場リスク管理の状況を的確に分析し、市場リスク管理の実効性の評価を行った上で、態勢上の弱点、問題点等改善すべき点の有無及びその内容を適切に検討するとともに、その原因を適切に検証しているか。
また、必要な場合には、利害関係者以外の者によって構成された調査委員会等を設置する等、その原因究明については万全を期しているか。

取締役会等の経営陣にとって、市場リスク管理態勢の改善を図るため、市場リスク管理が有効に機能しているかどうか、そのプロセスチェックを行うことは、重要な役割の1つです。

経営陣が主導してリスク管理態勢の改善を促すためには、まずは、必要な情報が経営陣の元に集約される態勢ができていなければなりません。監査役監査、内部監査、外部監査の結果報告や自ら関連部署に行わせた調査の結果、各部門からの報告など、あらゆる情報を収集した上で、自社の市場リスク管理態勢について分析・評価していくことが重要です。

ここで見逃してならないのは、「問題点」のみならず「態勢上の弱点」についても取締役会等は、分析・評価していく必要がある点です。取締役会等を構成する経営陣には、そのような感度が高い自浄能力も求められます。

2.分析評価プロセスの見直し

【金融検査マニュアルのチェック項目】

取締役会等は、定期的に又は必要に応じて随時、市場リスク管理の状況に関する報告・調査結果等を踏まえ、分析・評価プロセスの有効性を検証し、適時に見直しているか。

取締役会等は、市場リスク管理態勢の実効性を改善していくために、市場リスク管理の状況の分析とそれに基づく信用リスク管理の実効性の評価を行います。
その分析・評価のプロセス自体についても、改める点がないかどうか見直しが求められています。
分析・評価のプロセスは、定期的に又は「必要に応じて随時」行い、「適時に」見直しを行う必要があります。

 

改善活動

1.改善の実施

【金融検査マニュアルのチェック項目】

取締役会等は、上記3.(1)の分析・評価及び検証の結果に基づき、必要に応じて改善計画を策定しこれを実施する等の方法により、適時適切に当該問題点及び態勢上の弱点の改善を実施する態勢を整備しているか。

取締役会等は、前述の分析・評価及び検証の結果に基づいて、市場リスク管理態勢の弱点や問題点を改善させる具体的な「改善計画(アクション・プラン)を策定し、実行させていくことが求められます。
改善の進捗を確実に管理させるためのツールとして「改善計画」を明示したことは注目する点となります。

2.改善活動の進捗状況

【金融検査マニュアルのチェック項目】

取締役会等は、改善の実施について、その進捗状況を定期的に又は必要に応じて随時、検証し、適時適切にフォローアップを図る態勢を整備しているか。

取締役会等は、市場リスク管理部門等に対して指示・命令を行った事項が確実に行われているか、改善への取り組み状況をフォローアップする態勢を整備しなければなりません。

3.改善プロセスの見直し

【金融検査マニュアルのチェック項目】

取締役会等は、定期的に又は必要に応じて随時、市場リスク管理の状況に関する報告・調査結果等を踏まえ、改善プロセスの有効’性を検証し、適時に見直しているか。

取締役会等は、市場リスクの管理態勢の実効性を高めていくため、改善策が態勢の改善に資するものであるか、改善プロセスの過程でネックになっている問題点はないか、定期的に又は必要に応じて随時、報告・調査による情報を入手し、改善プロセスの見直しを行うことを通じてアクションする必要があります。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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