適正な時価算定のための態勢

適正な時価算定のために必要とされる態勢について、解説します。

【金融検査マニュアルのチェック項目】

  1. 内部規定等の整備
    会計処理の恣意性を排除し透明性を確保する観点から、取締役会等において明確な内部規定等を制定し、継続的に使用することが必要であり、少なくとも以下の項目について定めているか。
    また、当該内部規程等は、重要な規程として取り扱い、その変更に際しても制定の際に準じた手続をとっているか。
    イ 時価を算定する部門の管理者の権限及び義務
    ロ 内部規程等の遵守義務及び変更手続
    ハ 時価の算定方法に係る基本的な考え方

    • 特定取引及び非特定取引を行う組織から独立した他の組織による時価の算定
    • 時価の算定方法(時価の算定方法を別の書類に定める場合はその旨の規定
    • 時価の算定にフロント機能を有する組織が関与する必要がある場合は、その関与の方法
  2. 時価算定部門の独立性
    時価算定の方法の公正性を確保する観点から、市場部門と時価算定を担当する部門が異なっているか。
    時価算定を担当する部門が、市場部門から算定の客観性を損なうような関与を受けていないか。
  3. 時価算定の客観性の確保
    1. 内部規定等に基づき時価算定要領等を定め、継続的に使用しているか。
      また、制度改正、評価手法の開発により、算定方法を変更する必要が生じた場合には、内部規定等に基づき速やかに改正しているか。
      なお、算定方法の変更状況を明確にしているか。
    2. 時価算定要領等については、内容の公正性・妥当性の確保ため、市場部門(いわゆるフロント機能を有する部門)及び金融商品を開発する部門から独立した他の部門(例えば、リスク管理部門や内部監査部門等)のチェックを受けた上で、承認権限を有するものが適切に承認しているか。
      また、当該要領等の運用状況についても定期的に、市場部門、金融商品を開発する部門及び時価算定を担当する部門から独立した他の部門のチェックを受けているか。
    3. 「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準委員会)等に基づき、適正に時価が算定されているか。
      また、時価の算定については、自らの責任で行っているか。特に、第三者から時価情報を入手する場合には、定期的に入手した上で、時価の妥当性につき自ら検証しているか。
    4. 時価算定の客観性確保の状況に関して、内部監査の重点項目に含まれているか。
  1. 時価算定に関しては、金融機関の決算損益に影響を与えるため、「会計処理の恣意性の排除」「透明性の確保」の観点から、重要な規定として社内のルールを明文化しておきます。
    また、当該既定の内容は、内部統制のフレームワークに基づいた牽制機能の発揮を求めるものとなっています。
  2. 時価算定を担当する部門は、市場部門からの影響を受けないように、その独立性を確保する必要があります。
    デリバティブ取引や新規商品の時価算定に関しては、その内容を十分理解できる担当者を、時価算定を担当する部門に配置することがポイントになります。
  3. 平成19年2月における金融検査マニュアルの改訂に際してのパブリック・コメントでは、本チェック項目に関して次のようなやり取りがなされています。
    ・「特に、第三者から時価情報を入手する場合には、定期的に入手した上で、時価の妥当性につき
     自ら検証しているか。」は当基準に関連する「金融商品会計に関する実務指針」及び「金融商品
     会計に関するQ&A」(日本公認会計士協会)の趣旨を明確化したものであり、それ以上のもの
     を求めるものではないとの理解でよいか。
    ⇒財務会計上は、そのような理解で差し支えありません。

    ・「時価算定の客観性確保の状況に関して、内部監査の重点項目に含まれているか。」の文中の
     「内部監査の重点項目に含まれているか」は、「内部監査を受けているか」などに修正すべきで
     ある。
    ⇒時価算定の客観性の確保は、重要であるため、内部監査を行う必要があるとの趣旨であるため、
     現行マニュアル(平成19年4月施工前のマニュアル)とおりの表現とします。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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