資金調達方法とコスト

ビジネスを行っていく上で資金を調達することは重要なポイントです。
資金を調達する方法として、外部から調達するケースが多いですが、調達方法に応じたコストが必要となります。

負債コストと自己資本コスト

主な調達方法の一つ目は、金融機関等からの借入です。借入を行なうことで負債が増加しますが、通常一定の利息の支払が発生します。これが借入による負債コストとなります。
二つ目は、投資家からの出資です。株式を発行して出資を受けると自己資本が増加し、返済は不要ですが出資者はリターンを求めるため、配当金の支払が自己資本コストとなります。

自己資本コストと負債コストですが、一般的には、自己資本コストの方が高くなります。
これは、投資家と貸し手のリスクの差によるものです。一般的に投資家の方がリスクが高いため、自己資本コストの方が高くなるのです。
例えば、投資家への出資金には返済義務がないなどリスクが高いためです。

通常ビジネスを行なうに当たって、複数の資金調達方法を利用しているため、それぞれのコストは統一されていません。
そのため、企業全体でのコストを把握するためには、資金調達方法の割合で加重平均します。
加重平均とは、資金調達方法利用料の重みを反映して平均したものになります。

例えば、負債利子率2%の負債600万円と自己資本コストが8%の自己資本400万円があるとすると600万円と400万円それぞれの重みを利率にかけます。
そのまま平均してしまうと、(2%+8%)/2=5% になります。
しかし、実際には、負債の利用が多いので単純に半分ではないはずです。そこで、重みを利率に反映します。

その結果、自己資本コストは「3.2%」、負債コストは「1.2%」となります。
さらに負債コストには、節税効果が働くため、税率を考慮(1−t(税率)をかける)する必要があります。
なぜ節税効果が働くかといいますと負債の利息が損金扱いにできるため、その分税金の負担が減少するためです。
加重平均したコストに負債の節税効果を考慮したものを「加重平均資本コスト(WACC)」といいます。

 

加重平均コストの低減を図る

加重平均コストは、会社全体にかかるコストになりますので可能な限り少ないことが望ましいです。
では、コストが安い負債コストのみにすればよいかというとそうではありません。
負債には、元本の返済義務がありますので負債を借りれば借りるほどに倒産の可能性が高くなります。倒産の可能性が高まるということは、企業価値の減少に繋がりますのでリスクがあります。

よって、自己資本コストと負債コストのバランスは取りつつ、コストを削減させる必要があります。
また、負債コストを減らすためには、元本を返済する必要がありますので簡単にできることではありません。
しかし、自己資本コストは、返済の義務がないため、会社の対応によって削減することも可能です。マイナスの印象となる疑惑を招く対応をしないことで自己資本コストの上昇を防ぐことに繋がりますし、信頼が高まれば、少ないリターン(自己資本コスト)でも出資をしてくれる可能性もあります。

 

資本資産価格形成モデル(CAPM:Capital Asset Pricing Model)

会社の信頼が低下し、市場におけるリスクが高くなることは、自己資本コストの上昇を招きます。このリスク上昇と自己資本コストの上昇の関係を表すモデルを「CAPM(キャップエム)」といいます。

基本どのような資産でも景気変動などの市場リスク(システマティックリスク)があります。一方、市場リスクがない資産(無リスク資産)として、国債などがあります。
リスク資産は、「無リスク資産+市場リスクに対するプレミアム(割増)」で構成されているともいえます。
リスクがある資産と無リスク資産の差分(リスク資産が負っているリスク部分)であるプレミアムを「市場リスクプレミアム」といいます。
また、個別の株式についてもリスクがあります。同リスクの尺度を「ベータ(β)値」といいます。

これらの情報を使用することで自己資本コストを次のように計算することができます。

自己資本コスト = 無リスク資産の利子率 + β値 × 市場リスクプレミアム
※市場リスクプレミアム = リスク資産の利子率 ー 無リスク資産の利子率(安全利子率・リスクフリーレート)

ベータ値は、複数の類似上場企業のβ値を平均することで制度を向上させることができます。

 

未上場会社の加重平均コスト(WACC)の推定

未上場会社の加重平均コストの計算は、まず自己資本コストを求めるためにβ値を計算する必要があるのですが、
未上場会社のβ値については、類似の事業を行っている上場会社のβ値から推定する必要があります。

推定に当たっては、類似上場会社と当該未上場会社で資本構成(負債:Debtと自己資本:Equityの比率 D/E)が異なることから調整が必要になります。
通常、負債がありますので負債がある場合のβL(Leverd β:レバードβ)から、次の計算式を使用して負債のない場合のβU(Unleverd β:アンレバードβ)を計算します。
その後、非上場会社の資本構成に基づくβLを計算することになります。

βL = {1+ D/E(1−税率)}× βU

未上場企業のβ値を算出する手順

  1. 未上場企業と事業が類似している上場企業数社のアンレバードβ計算する。
  2. 計算した複数の上場企業のアンレバードβを平均する。
  3. 平均したアンレバードβを未上場企業の資本構成(D/E)を使用して未上場企業のレバードβに変換する。

 

 

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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