個別の問題点−ファンド

近年のわが国の金融市場における低金利水準の継続、金融機関の貸出低迷から債券が金融機関の資産に占める割合が増加してきており、その中でも従来の投資とはリスク特性を異にした様々な「ファンド」に対する投資も目立ってきました。
ここでは、金融機関によるファンドへの投資運用が行われいる場合のチェック項目が示されています。

金融庁検査局が公表している「金融検査マニュアルに関するよくあるご質問(FAQ)」では、パブリック・コメントを踏まえて次のような設問があります。
Q:金融検査マニュアルでいう「ファンド」とは、どのような範囲を想定しているのですが。
A:ヘッジファンド、私募ファンド、投資信託等様々なものを対象としており、本チェック項目については、そのファンドの特性に応じたリスク管理を求めています。

 

審査管理

【金融検査マニュアルのチェック項目】

1.意思決定プロセス
購入時に当たっては、ファンド特性及びそれに対するリスクを認識・理解した上で、 内部規程等に基づく意思決定プロセスを経ているか。例えば、ファンドのストラクミチャー、運用者リスク、流動性リスク、当該金融機関の管理方法の限界等について、 適切に確認しているか。

2.購入時審査
購入時に当たっては、選定基準に基づき例えば、以下の項目について、適切に確認しているか。

  • 投資戦略
  • リスク管理方針・方法
  • ボラティリティ
  • 収益の安定性
  • レバレッジの特徴及び方針

3.情報の取得
適切な頻度で情報開示される契約となっているか。また、情報開示内容が、リスク管理上、十分なものとなっているか。

このチェック項目は、ファンド購入時点におけるプロセスを確認するものであり、(購入意思決定プロセス)ー(審査)ー(情報開示に係る契約条項)について記述されています。
ここでは、金融期間において、リスク管理可能と判断できるだけのファンドの内容に関する情報が得られるかどうかがポイントとなります。

平成19年2月における金融検査マニュアル改定に際してのパブリック・コメントでは、本チェック項目に関して以下のようなやり取りがなされています。

・「当該金融機関の管理方法の限界」とは、具体的にどのようなことか。
→ファンドの中身を知ることができない、ファンド地価情報が月次である、自家の時系列データが十分ではない、アクティブリスクを捉えることができない、リスク量を計測できないなどリスクの管理上の弱点が想定されます。

 

継続的なリスク管理

【金融検査マニュアルのチェック項目】

  1. 適切なリスク管理の実施
    監査の有無や解約期間の長短等、ファンドの実態及び商品特性を十分に把握した上でのリスク管理が行われているか。
  2. 運用状況の把握
    事前に説明した投資戦略や投資ガイドライン等に従って運用されているかどうかについて、運用報告書等により検証・確認しているか。
    また、運用スタイルの変化等についても、適切に確認しているか。
  3. 情報の取得
    適切な頻度で、リスク管理上十分な情報開示がなされる契約が維持され、遵守されているか。

本チェック項目は、ファンドの実態や特性に見合った適切なリスク管理を継続して行っているかを確認するものです。

金融庁検査局が公表している「金融検査マニュアルに関するよくあるご質問(FAQ)」では、パブリック・コメントを踏まえ、以下のように回答されています。
Q:「監査の有無や解約期間の長短等、ファンドの実態及び商品特性を十分に把握した上でのリスク管
  理」とありますが、何をもってリスク管理ができているとみなすことができますか。定期的にリス
  ク量を把握し、十分なリスク資本と対比することでリスク管理可能と考えられますか。
A:1.適切なリスク管理とは、適切にリスクを特定・評価し、適切にモニタリング、適切にリスクを
     コントロールすることをいいます。
   2.定期的にリスク量を把握すること、十分なリスク資本と対比することで評価する等は、リスク
     管理の1つであると考えます。
     ただし、採用しているリスク料の把握方法やリスク資本対比の方法などが金融機関の業務の規模
     ・特性及びリスク・プロファイルに照らして適切なものであるかについては、個別に検証する
     必要があります。

 

その他

【金融検査マニュアルのチェック項目】

  1. 時価評価
    ファンドの投資資産の評価方法その他の基本的事項等、自家を決定する上での各要素について、その妥当性を検証・確認しているか。
  2. リスク量の計測等
    ファンド特性に応じて、リスク量を適切に計測しているか。
    また、計測されたリスク量が、自己資本、収益力等を勘案した上で適切に設定した投資枠の範囲となっているか。

ファンドに対する定量的なリスク量の計測プロセスの妥当性、計測結果が許容の範囲内かどうかをチェックします。

 

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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