経営管理(ガバナンス)の重要性

経営管理の基本は、経営陣、特に取締役会や監査役等が会社法等で定められた本来の役割を果たすことです。

経営陣の役割

内部統制上、最も重要な要素となるのは、企業風土に重要な影響を及ぼす「経営者の姿勢(誠実性や論理的価値観)」そのものとなります。

過去の不詳事例や行政処分事例を見ると、従来からわが国の金融機関では、商法や会社法の規程とは異なり、経営陣が自社を十分に統制・管理できていなかったり、あるいは取締役会や監査役による牽制機能が形骸化していて、経営トップ(代表取締役)による独断選考から問題が発生したケースも数多くあります。

経営陣が経営管理の強化を図ることは、金融不祥事や行政処分に対するディフェンスという意味合いもありますが、実はそれに止まるものではありません。企業理論を重視した風土・環境を整備することによって、積極的に企業の価値を高めていく、より積極的な意義があることを忘れてはなりません。

 

会社法と経営管理

経営管理の基本は、例えば、株式会社である金融機関の場合には、会社法に規程されている会社の機関(取締役、取締役会、代表取締役、監査役(会))(委員会設置会社の場合には、執行役、代表執行役、取締役会、監査委員会等)がその本来の役割を十分に果たしているかどうかという点にあります。
特に重要なポイントとしては、次の項目があります。

1.取締役の義務(善管注意義務、忠実義務等)

会社と取締役の関係は委任関係(会社法330条)となります。
また、取締役が取締役会の構成員として、又は代表取締役として職務を行うに際しては、民法に規定された善良な管理者の注意義務を負います。(民法644条)。
さらに、取締役は会社に対し、会社の利益を犠牲にして、自己の利益を図ってはならないという忠実義務を負っています。(会社法355条)
また、判例からは、代表取締役はもちろん一般の取締役も他の代表取締役や取締役が法令や定款を遵守し、その行為が適法かつ適正になされている否かを監視する義務(監視義務)を負っているものとされています。
各取締役においては、自分の所掌に関わりなく、リスク管理を含む全ての重要な内部管理について、識見を持つことが必要になります。でなければ、取締役会において、相互に監視することができません。

2.取締役会による監督と業務執行の決定

会社法において、取締役会は、すべての取締役により組織され、次の職務を行うものと規程されています。(会社法362条)。

  • 会社の業務執行の決定
  • 取締役の職務執行の監督
  • 代表取締役の選定と解職

会社法は、取締役会に対し、次の役割を果たすことを養成しています。
この点は、現実の経営陣の実感や態様と異なっていますので注意が必要となります。取締役会を構成する一人一人の取締役がこのような法的な責任を担っているということを十分に自覚しておく必要があります。

  • 業務執行における最高意思決定機関として、重要な業務執行について決定すること
  • 代表取締役等の業務執行を監督するチェック機能の役割を担うこと

3.代表取締役による業務執行

業務執行を行い、対外的に会社を代表する常設の機関が代表取締役です。(委員会設置会社の場合は、代表執行役)

代表取締役は、株主総会、取締役会で決められた方針に基づいて業務を執行する他、取締役会から委譲された範囲内で自ら意思決定し業務を執行します。
取締役会により選任された代表取締役は、取締役会の監督に服しており、3か月に1回以上、自己の執行状況を取締役会に報告しなければいけません(会社法363条)。

4.監査役、監査役会による監査等

監査役は、取締役の職務執行を監査する機関であり(会社法381条)、会計監査を含めた監査を行って、取締役の業務執行全般について、法令・定款違反や著しく不当なものがないかどうかをチェックする機能を果たしています。
監査役は、単独でもこうした広範な権限をもっていますが、さらに一定の要件以上の会社では、チェックの強化を図るため監査役会を設置することとされています。

【取締役会設置会社のガバナンス構造の例】

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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