内部監査と監査役監査や外部監査とのかかわり

内部監査以外にも監査が行われる場面があります。主に実施される監査としては、「監査役監査」と「外部監査」です。
監査を円滑に実施するためには、内部監査を実施する部署とそれぞれの監査を実施する関係者との連携が必要となります。
監査役監査は、監査役との連携が必要となり、外部監査は、公認会計士等との連携が必要です。

内部監査と監査役監査

監査役とは、取締役の職務の執行を監査する機関であると規定(会社法第381条)されており、その職務と権限は、会計の監査を含む会社の業務全般におよびます。
監査役が実施する監査では、業務執行の法令・定款違反又は著しい不当性の有無をチェックします。そして違反や不当性が見つかった場合は、指摘することが求められています。
また、大会社かつ取締役会設置会社は、内部統制システム(業務の適性を確保するための体制)に関わる基本方針取締役会で決定すべき事項として義務付けられていますので、取締役会で決定した内容、取締役による内部統制システムの整備状況を監視し検証することも監査役監査として実施すべき事項となります。

監査役が監査を実施する際は、単独で行うのではなく内部監査を実施する部署やモニタリング機能を持った部署と連係し、組織的かつ効率的に行う必要があります。
また、監査時だけでなく内部監査の計画や監査結果を定期的に報告を受け、必要に応じて調査を求めることで、内部統制システムに関わる監査役監査に活用します。
((社)日本監査役協会「監査役監査基準」第7章 第34条を参照)

内部監査と外部監査

外部監査とは、公認会計士又は監査法人が行う監査です。法律で規定されている監査として、会社法に基づいて実施する「会計監査人監査」、金融商品取引法に基づいて実施する「金融商品取引法監査」があります。
会計人監査は、株主の利益保護のために実施され、金融商品取引法監査は、投資家保護のために行われるものとなります。

会計監査人監査

会計監査人は、株式会社の計算書類、附属明細書、臨時計算書類及び連結計算書類を監査します。(会社法 第396条)
なお、会計監査人は、公認会計士又は監査法人である必要があります。(会社法 第337条)

会計監査人は、計算書類等が法令又は定款に適合するかどうか意見を表明することが求められますが監査役と意見が異なる場合は、定時株主総会に出席して意見を述べることもできます。(会社法 第398条)

金融商品取引法監査

上場会社等が計算書類を提出するに当たっては、公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければなりません。(金融商品取引法 第193条の2)

内部監査と公認会計士等

会社法又は金融商品取引法で定められた会社の計算書類等の監査を実施する公認会計士には、内部統制の状況を把握した上で監査計画を策定し、監査手続を実施する義務があります。
そのため、通常は、内部監査の整備・実施状況の把握、有効性評価という公認会計士等の立場から行う監査手続きが実施されます。
なお、監査を効率的に行うために内部監査業務を利用することも一定の条件を定めて公認会計士等に認められています。
実務では、公認会計士等と内部監査を実施する部署とが情報交換を図り、お互いの監査を充実させることが重要になります。

内部監査・監査役監査・外部監査の比較

内部監査 監査役監査 外部監査(公認会計士監査)
会計監査人監査 金融商品取引法監査
法的根拠 ・なし ・会社法 ・会社法 ・金融商品取引法
監査依頼者 ・経営者 ・株主総会 ・株主総会 ・投資家等
監査目的 ・経営上の多様な目的 ・株主の利益保護 ・株主の利益保護 ・現在及び将来の投資家の保護
監査要点 様々な視点から評価可能 ・適法性 ・適法性 ・適正性
監査対象 ・経営以外の全ての業務、事象及びその他の事項 ・取締役の業務執行
・計算書類
・その他の議案
・計算書類
・その他の議案
・会計帳簿
・財務諸表及びその関連資料
評価基準 ・監査の視点に基づいて
内部監査人が評価基準を個別に
設定する
・取締役の職務執行に関しては、会社法の規定 ・会社法
・会計慣行
・会社計算規定
・企業会計原則
・会計慣行
・財務諸表等規則
監査手続及び監査範囲 監査目的及び監査要点から
監査対象に関する監査手続と監査範囲を決定する
・制限されていない
・会計監査人からの報告に対する判断
・主要な監査手続は監査基準で定められている
・その他及び監査範囲は監査人が判断
・主要な監査手続は監査基準で定められている
・その他及び監査範囲は監査人が判断
監査報告  ・監査目的を明記して、監査対象に
関する評価、課題、問題点、
リスク、改善案、提言事項などを
報告
・問題がある場合は、株主総会に報告
・大会社では、監査役会が取締役に報告
・適法性に関する意見を監査役会に提出
・短文式監査報告書で雛形が決まっている
・短文式監査報告書で雛形が決まっている

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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