金融検査マニュアルにおけるリスク計測(計量)手法に対する内部監査

各種リスク計測(計量)手法に対する内部監査について、それぞれの概要を説明します。

各リスク計測手法・計量手法に対する内部監査

1.統合リスク計測手法に関する内部監査

(5)監査
①監査プログラムの整備
統合リスク計測手法の監査を網羅的にカバーする監査プログラムが整備されているか。
②内部監査の監査範囲

以下の項目について、内部監査を行っているか

  • 統合リスク計測手法と、戦略目標、業務の規模・特性及びリスク・プロファイルとの整合性
  • 統合リスク計測手法の特性(限界及び弱点)を考慮した運営の適切性
  • 統合リスク計測手法に関する記録は適切に文書化され、遅滞なく更新されていること
  • 統合リスク管理プロセスにおける変更内容の計測手法への適切な反映
  • 統合リスク計測手法によって捉えられる計測対象範囲の妥当性
  • 経営陣向けの情報システムに這漏がないこと
  • 統合リスク計測手法、前提条件等の妥当性
  • 各種リスクの合算方法の妥当性
  • 統合リスク計測に利用されるデータの正確性及び完全性
  • 継続的な検証(バック・テスティング等)のプロセス及び結果の適正性

 

2.信用リスク計測手法に関する内部監査

(ⅴ)監査
イ.監査プログラムの整備

信用リスク計測手法の監査を網羅的に力バーする監査プログラムが整備されているか。

ロ.内部監査の監査範囲

以下の項目について、内部監査を行っているか

  • 信用リスク計測手法と、戦略目標、業務の規模・特性及びリスク・プロファイルとの整合性
  • 信用リスク計測手法の特性(限界及び弱点)を考慮した運営の適切性
  • 信用リスク計測手法に関する記録は適切に文書化され、遅滞なく更新されていること
  • 信用リスク管理プロセスにおける変更内容の計測手法への適切な反映
  • 信用リスク計測手法によって捉えられる計測対象範囲の妥当性
  • 経営陣向けの情報システムに遣漏がないこと
  • 信用リスク計測手法、前提条件等の妥当性
  • 信用リスク計測に利用されるデータの正確性及び完全性
  • 継続的な検証(バック・テスティング等)のプロセス及び結果の適正性

 

「統合リスク計測手法の監査」と「信用リスク計測手法の監査」について、監査範囲に挙げられている項目の違いは、統合リスク計測手法において「各種リスクの合算方法の妥当性」が追加されている以外は、同じ趣旨の項目で構成されています。

3.信用リスクの内部格付手法に関する内部監査

Ⅰ.内部統制
3.監査

独立した機能を有する内部の監査部署は、年1回以上の割合で信用リスク管理部署 の管理状況、PD、LGD及びEADの推計値、該当するすべての最低要件の遵守状況等、内部格付制度及びその運用状況を見直し、その結果に関する監査報告書を作成しているか。

 

信用リスクに「内部格付け手法」を用いている場合は、年1回以上の割合で内部監査を実施することが求められています。

 

4.市場リスク計測手法に関する内部監査

4.市場リスク計測手法
(16)監査(統計的手法でリスク量を計測している場合)
①監査プログラムの整備
市場リスク計測手法の監査を網羅的にカバーする監査プログラムが整備されているか。

  • 内部監査の担当者は、市場リスク管理手法に習熟しているか。
  • 内部監査は、1年に1回以上の頻度で行っているか。
②内部監査の監査範囲

以下の項目について、内部監査を行っているか。

  • 市場リスク計測手法と、戦略目標、業務規模・特性及びリスク・プロファイルとの整合性
  • 市場リスク計測手法の特性(限界及び弱点)を考慮した運営の適切性
  • 市場リスク計測手法に関する記録は適切に文書化され、遅滞なく更新されていること
  • 市場リスク計測手法及びプライシング・モデルの使用に習熟した人員の配置の適切性
  • 市場リスク計測手法の算出結果が日々の市場リスク管理に統合されていること
  • ブライシング・モデル及び市場リスク計測手法を含む新しいモデルの承認プロセスの適切性
  • 市場リスク管理プロセスにおける変更内容の計測手法への適切な反映
  • 市場リスク計測手法によ って捉えられる計測対象範囲の妥当性
  • 経営陣向けの情報システムに這漏がないこと
  • プライシング・モデルのロジックの合理性
  • 市場リスク計測手法、前提条件等の妥当性
  • 市場リスク計測に利用されるデータの正確性及び完全性
  • 市場リスク計測手法を稼働させる際に使用するデータ・ソースの整合性、適時性信頼性及び独立性
  • バック・テスティングのプロセス及び結果の適正性
  • ストレス・テストのプロセス及び結果の適正性
  • 定期的な市場リスク計測手法の検証の適切性
③内部監査の結果の活用
市場リスク管理部門は、内部監査の結果を踏まえて、市場リスク計測手法を適切に見直しているか。

 

市場リスク計測手法については、他のリスク計測手法と比較すると内部監査で検証すべき項目が幅広く挙げられています。(下線部分)
これは、プライシング・モデル(金融商品等の価格決定方法)が監査対象に含まれていること、日常の市場リスク管理に用いられている複数の システムとリスク計測システムの関係も検証すること、バック・テスティングやストレス・テストのプロセス及び結果の適正性についても検証しなければならないこと等が要因となっています。
加えて、次の項目に挙げられているように、時価算定に関しても内部監査の重点項目としているかどうかも問われています。

 

5.時価算定に関する内部監査

7.時価算定
③時価算定の客観性の確保

(ii)時価算定要領等については、内容の公正性・妥当性の確保ため、市場部門(いわゆるフロント機能を有する部門)及び金融商品を開発する部門から独立した他の部門(例えば、リスク管理部門や内部監査部門等)のチェックを受けた上で、承認権限を有するものが適切に承認しているか。
また、当該要領等の運用状況についても定期的に、市場部門、金融商品を開発する部門及び時価算定を担当する部門から独立した他の部門のチェックを受けているか。

(iv)時価算定の客観性確保の状況に関して、内部監査の重点項目に含まれているか。

 

 

6.オペレーショナル・リスク計量手法に関する内部監査

2.オペレーショナル・リスク計量手法を用いている場合の検証項目
(5)監査
①監査プログラムの整備
オペレーショナル・リスク計量手法の監査を網羅的にカバーする監査プログラムが整備されているか。
②内部監査の監査範囲

以下の項目について、内部監査を行っているか。

  • オペレーショナル・リスク計量手法と、戦略目標、業務の規模・特性及びリスク・プロファイルとの整合性
  • オペレーショナル・リスク計量手法の特性(限界及び弱点)を考慮した運営の適切性
  • オペレーショナル・リスク計量手法に関する記録は適切に文書化され、遅滞なく更新されていること
  • オペレーショナル・リスクの総合的な管理プロセスにおける変更内容の計量手法への適切な反映
  • オペレーショナル・リスク計量手法によって捉えられる計量対象範囲の妥当性
  • 経営陣向けの情報システムに遺漏がないこと
③監査結果の活用
オペレーショナル・リスクの総合的な管理部門は、監査の結果を踏まえて、オペレーショナル・リスク計量手法を適切に見直しているか。

 

オペレーショナル・リスク計測手法に関する内部監査の項目には、他のリスク計測手法にある次の項目は、示されていません。

  • リスク計測手法、前提条件等の妥当性
  • リスク計測に利用されるデータの正確性及び完全性
  • 継続的な検証(バック・テスティング等)のプロセス及び結果の適正性

 

外部業者が開発したリスク計測(計量)モデルに関する内部監査

1.信用リスク計測手法に関する内部監査

 (vi)外部業者が開発した信用リスク計測モデル
イ.信用リスク計測態勢の適切性
b.金融機関の余震管理部門及び内部監査部門は、計測手法の理論的及び実証的な妥当性検証を行っているか。

 

2.外部業者が開発した市場リスク計測モデルに関する内部監査

 5.外部業者が開発した市場リスク計測モデルを用いている場合
①【市場リスク計測態勢の適切性】
(ii)金融機関の市場リスク管理部門及び内部監査部門は、計測手法の理論的及び実証的な妥当性検証を行っているか。

 

3.外部業者が開発したオペレーショナル・リスク計量モデルに関する内部監査

 (6)外部業者が開発したオペレーショナル・リスク計量モデル
①【オペレーショナル・リスク計量態勢の適切性】
(ii)金融機関のオペレーショナル・リスクの総合的な管理部門及び内部監査部門は、計量手法の理論的及び実証的な妥当性検証を行っているか。

 

外部業者が開発したリスク計測(計量)モデルについて、いずれも各リスクを所管するリスク管理部門(ミドルオフィス)及び内部監査部門が理論的・実証的な妥当性検証を行うことが求められている点で同様の書きぶりとなっています。
したがって、内部監査部門では、これらのリスク計測(計量)モデルに関わる妥当性検証ができる態勢を整備する必要があります。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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