貸借対照表の純資産を分析する

財務諸表の一つである貸借対照表(B/S)の右下側に記載されている「純資産」には、出資者から調達した資本金、利益の内部留保(剰余金)などが記載されています。
純資産は、返済する必要がありません、(自己資本)

純資産は、大きくは、4つの区分「株主資本」、「評価・換算差額等」、「新株予約権」、「非支配株主持分(連結貸借対照表の場合)」に分かれます。
一般的に、総資本に対する純資産の比率が大きいと長期的な安全性が高いと判断できます。

純資産

 

 

 

 

 

 

 

株主資本

株主資本は、株主からの出資金とこれまで稼いだ利益の合計となります。
また、株主資本は、主に「資本金」、「資本剰余金」、「利益剰余金」、「自己株式」に分類できます。

資本金

資本金は、株主から受けた出資金になります。あくまで出資を受けた元手であるため、資本金のみでは、会社の価値は判断できません。

資本剰余金

資本剰余金は、「資本準備金」と「その他資本剰余金」に分けられます。

資本準備金

資本準備金は、資本金として計上しないこととした額(資本金の1/2を超えない金額)を準備金として積み立てておくことができるものです。
会社の業績が悪化した時は、資本金ではなく資本準備金を取り崩すことで会社財産を維持することができます。

その他資本準備金

その他資本剰余金には、例えば次のようなものがあります。

  • 資本準備金の取り崩し額
  • 自己株式処分差額(自己株式を譲渡した際の差損益)
  • 組織再編における増加資本のうち、資本金や資本準備金に組み入れなかった金額)

資本金や資本準備金は、配当原資にできませんがその他資本剰余金は、配当金として分配することが認められています。

利益剰余金

利益剰余金は、「利益準備金」と「その他利益剰余金」に分けられます。

利益準備金

利益準備金は、会社法によって法定準備金の性質を持つため、配当を行う際には、利益剰余金から計上する必要があります。
当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に1/10かけた額を資本準備金又は利益準備金として計上する必要があります。(会社法 第445条第4項)

また、準備金が資本金の1/4(基準資本金)に達するまで、配当ごとに配当額の1/10を資本準備金又は利益準備金に積み立てる必要があり、以下のいずれか小さい方が準備金の要積立額となります。(会社計算規則第22条第2項第1号)

  • 剰余金の配当額×1/10
  • 配当時の資本金×1/4(基準資本金)ー配当時の準備金
その他利益剰余金

その他利益剰余金には、例えば次のようなものがあります。

  • 任意積立金
    法律とは関係なく、会社が自主的に利益の一部を留保したものです。
  • 繰越利益剰余金
    当期純利益と前期からの繰越利益の合計です。

自己株式

既に発行している株式を自社が入手することです。
敵対的買収者に取得されることを防いだり、オーナーの相続税対策、中小企業の事業承継などにも活用することができます。

 

評価・換算差額等

資産又は負債に関する評価差額(時価評価に伴う含み損益)を当期の損益として処理していない場合、純資産の部に計上するための区分です。
純資産の部で調整することで税効果会計を適用するための区分となります。

 

新株予約権

株式会社に対して行使することで、当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利のことです。
一定期間にあらかじめ決められた価格で取得できる権利です。

 

非支配株主持分(連結貸借対照表の場合)

子会社の資本で親会社以外が保有する持ち分のことです。

子会社の資本

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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