自己査定の内容-債権の分類方法(分類対象外債権)

【金融検査マニュアルのチェック項目】
- 自己査定基準の適切性の検証
分類の対象としない債権は次のとおりとする。
① 済確実な割引手形及び特定の返済財源により短時日のうちに回収が確実と認め
られる債権及び正常な運転資金と認められる債権。
② 預金等及び国債等の信用度の高い有価証券等の優良担保が付されている場合、
あるいは預金等に緊急拘束措置が講じられている場合には、その処分可能見込
額に見合う債権。(注)「特定の返済財源」とは、近く入金が確実な増資・社債発行代り金、不動産売却代金、代理受領契約に基づく受入金、あるいは、返済に充当されることが確実な他金融機関からの借入金等で、それぞれ増資、社債発行目論見書、売買契約害、代理受領委任状又は振込指定依頼書、その他の関係書類により入金の確実性を確認できるものをいう
(注)「正常な運転資金」とは、正常な営業を行っていく上で恒常的に必要と認められる運転資金である。
- 自己査定結果の正確性の検証
上記に掲げる債権が分類対象外債権とされているかを検証する。
① 務者区分が破綻懸念先、実質破綻先及び破綻先に対する債権とされている債務
者が振り出した手形は、自己査定上は決済確実な割引手形として取り扱わな
い。「特定の返済財源により近く入金が確実な」場合とは、概ね1か月以内に
貸出金が回収されることが関係書類で確認できる場合をいう。
② 債務者区分が破綻懸念先、実質破綻先及び破綻先に対する運転資金は、自円否
定上は正常な運転資金として取り扱わない。なお、要注意先に対する運転資金
であっても、自己査定上は全ての要注意先に対して正常な運転資金が認められ
るものではなく、債務者の状況等により個別に判断する必要があることに留意
する。また、破綻懸念先に対する運転資金であっても、特定の返済財源による返済資金が確実に自行(庫・組)の預貯金口座に入金され、回収が可能と見込まれる債権については、回収の危険性の度合いに応じて判断する。
一般的に、卸・小売業、製造業の場合の正常な運転資金の算定式は以下のとおりであるが、算出に当たっては、売掛金又は受取手形の中の回収不能額、棚卸資産の中の不良在庫に対する貸出金は正常な運転資金とは認められないことから、これらの金額に相当する額を控除の上、算出することとする。正常な運転資金
=売上債権[売掛金十受取手形(割引手形を除く)]
+棚卸資産(通常の在庫商品であって不良在庫は除く)
ー仕入債務[買掛金十支払手形(設備支手は除く)]複数の金融機関が運転資金を融資している場合には、被検査金融機関の融資シェアを乗じて算出する。
ここに挙げられた回収が確実と認められる債権、正常な運転資金と認められる債権は、自己査定基準において分類対象外債権とされます。
要注意先に対しては、正常運転資金については、より慎重な検証が必要となっています。
実質上の赤字補填資金として流用された債権について分類対象外債権としないために正常な運転資金を算出し分類する必要があります。
【金融検査マニュアルのチェック項目】
- 自己査定基準の適切性の検証
③ 良保証付債権及び保険金・共済金の支払いが確実と認められる保険・共済付債
権。
④ 府出資法人に対する債権。
⑤ 同組織金融機関で、出資者の脱退または除名により、出資金の返戻額により債
権の回収を予定している場合には、その出資金相当額に見合う債権。- 自己査定結果の正確性の検証
③ 良保証付債権の資金使途が運転資金であり、当該運転資金とこれ以外の運転資
金との合計額が正常運転資金相当額を超える場合は、分類対象外債権は正常運
転資金相当額を限度とする。
④ 府出資法人が出資又は融資している債務者及び地方公共団体が出資又は融資し
ている債務者に対する債権は、分類対象外債権として取り扱わず、原則として
一般事業法人に対する債権と同様の方法により分類されているかを検証する。
具体的には、政府出資法人からの支援又は地方公共団体からの支援が確実であ
ることの合理的な根拠がある場合は、当該支援内容を踏まえ、債務者区分の検
討を行うものとし、単に政府出資法人及び地方公共団体が出資又は融資を行っ
ていることを理由として非分類としていないかを検証する。
さらに、上記③~⑤に挙げられた債権も分類対象外債権となります。
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