外部委託管理体制

外部委託管理責任者は、顧客保護の観点から、外部委託業務における顧客情報や顧客への対応の管理が適切に実施されるように態勢を整備する必要があります。

外部委託管理者は、会社の業務が外部委託される場合における顧客情報や顧客への対応を管理する責任者です。

外部委託管理について

会社が事業を行うにあたり、様々な業務を外部委託している場合がありますが、そのような外部委託業務に関しても、顧客保護の観点から会社本体による適切な管理監督が実施されなければなりません。

金融検査マニュアルのFAQでは、外部委託管理に関してオペレーショナル・リスク管理態勢との関係を含めて、次のような説明がなされています。

  • 外部委託管理とは、基本的には、経営陣において管理が必要と考える外部への業 務の委託に関する管理のこと。
    例えば、計算業務、現金輸送、電子計算機に関する事務、文書作成・保管・発送業務、現金自動支払機の保守・点検業務などを第三者に対して委託する場合が考えられる。

  • 外部委託を行う場合には、委託する業務の規模・特性に応じ、金融機関は顧客保護や当該外部委託業務に内在するオペレーショナル・リスクを適切に管理することが求められる。したがって、外部委託管理については、顧客保護の観点からは顧客保護等管理態勢で検証し、リスク管理の観点からは、オペレーショナル・リスク管理態勢で検証することとなる。

外部委託先管理の検証については、顧客保護等管理態勢、オペレーショナル・リスク管理態勢の一方に偏ることなく両面からの確認を行うことが重要です。

 

内部規定等の策定

1.外部委託規程の整備・周知

外部委託管理責任者は、外部委託管理を的確に実行するための実務手続を整備しなければなりません。したがって、まず、外部委託管理の適切性、十分性を確保するための規程整備等の手当が必要な業務の所在、種類等を把握する必要があります。
その上で、顧客保護等管理方針と整合的な外部委託管理態勢の基本事項を定める「外部委託管理規程」を策定する必要があります。
また、「外部委託規定」の最終承認は、リーガル・チェック等を経て取締役会等が行う必要があります。
リーガル・チェック等に関しては、コンプライアンス・チェックを含み、例えば、法務担当者、法務担当部署、コンプライアンス担当者、コンプライアンス統括部門又は社内外の弁護士等の専門家により内部規定等の一貫性・整合性や取引及び業務の違法性について、法的側面から検証することを言います。

2.外部委託規程の内容

外部委託規程には、業務の規模・特性に応じ、外部委託業務の適切な管理を行うための組織体制、権限・役割等を明確に規定することが求められます。
特に次の点を考慮した内容とする必要があります。

  • 委託業務の範囲、量に見合った外部委託管理体制
  • 外部委託先の選定
    ・コンペの実施基準、価格以外の評価項目の取扱(評点の◯◯%等)を具体的に規定
  • 外部委託先の管理
    ・外部委託先に対する指示事項、方法
    ・外部委託先による定期報告事項、頻度、方法
    ・外部委託先の評価手続、基準
  • 顧客情報管理
    ・契約の解除とともに顧客情報の返還、廃棄を求める(廃棄の場合は、その実施状況を確認できる)旨を契約書に規定

 

外部委託管理の実施

1.委託業務の的確な遂行を確保するための措置

外部委託管理責任者は、委託業務の的確な遂行を確保するために必要な措置として、外部委託に関する基本方針、手続、委託基準等を整理した規程類及び外部委託契約書の雛形(委託先への要求事項の明記)を作成する必要があります。
なお、委託する第三者には、会社の親会社、子会社、関連会社を含みます。
また、委託先の日常的な業務管理(モニタリング)を的確に実施するための組織・人員態勢の構築等も重要です。

2.外部委託先の選定

外部委託先管理責任者は、外部委託先の評価基準の作成、選定の際に事務リスク管理部門・システムリスク管理部門等の意見も踏まえて、会社本体と一体的なオペレーショナル・リスク管理が行える態勢を構築する必要があります。

3.委託契約の締結

外部委託契約書は、事前に弁護士等のリーガルチェックを受ける必要があります。
また、小規模な事業者に業務を委託する際には、特に独占禁止法や下請法の規程に抵触しないように留意が必要です。

4.外部委託先に対するモニタリングの実施

外部委託管理責任者による委託先の契約事項の遵守状況に対するモニタリング方法、項目、頻度等を定める必要があります。モニタリングに当っては、コンプライアンス統括部門、内部監査部門等と連携し、委託先に過度の負担がかからない効果的な手法を導入します。
また、モニタリングの結果を態勢強化につなげるための不備事項に係る是正要求権(契約解除条項)を明確にすることも重要です。
なお、モニタリングに対する協力状況や結果を外部委託先の評価に反映することも大切です。

5.外部委託先の業務に関する相談・苦情等処理態勢

外部委託管理責任者には、顧客サポート等管理責任者等と連携し、外部委託業務に係る顧客からの相談・苦情等についても、会社本体の業務に対するものと同等に対応できる態勢を整備することが求められます。

委託先の顧客サポート等管理部門に対し、会社本体に準じた対応を要求したり、研修を実施したりするほか委託業務に係る相談・苦情等について、会社が直接受け付ける態勢の構築も必要です。

6.外部委託先の業務のバックアップ態勢

理念上、外部委託とは、本来会社が直接行うべき業務を外部期間に委託する行為と考えられますので、何らかの事情で委託先での適切な業務遂行が困難となった場合は、当該業務を会社自ら行うか、他の委託先へ円滑に引き継がなければなりません。
こうしたバックアップ態勢の整備も、外部委託管理責任者の重要な業務の1つとなります。

7.委託契約の変更・解除等

会社の業務の健全性確保や顧客保護を理由とする場合は、自社の判断で一方的に業務委託契約を解除できる旨を契約書に規定することが重要です。
ただし、優越的地位の乱用とならないように、あらかじめ具体的な解除理由を列挙しておく必要があります。

8.顧客情報保護措置

外部委託先に対しても本体と同水準の顧客情報管理態勢を要求できるように規程、契約書を整備する必要があります。
特に目的外利用の禁止、安全管理措置(漏えい、改ざん防止)については、必要に応じ具体的な対応を指示するほか、立ち入り調査等により実態把握を行うことも重要です。

9.取締役会等への報告態勢

外部委託先管理に関する取締役会等(取締役会、各種重要会議、代表取締役、業務執行取締役)への報告手続、内容を書面で明確にする必要があります。定期報告事項については、書面の雛型を作成し、報告頻度を定めることが望まれます。
また、緊急連絡を要する事項、方法(電話連絡、Eメール等による書面の配布、会議の臨時招集等)についてもあらかじめ定めておく必要があります。

10.監査役への方向態勢

監査役がその機能を十分に発揮できるよう、監査役への報告事項、方法等を定める必要があります。
また、取締役会の指示による能動的な報告だけでなく、監査役の求めによる報告、資料提出等にも積極的に応じることが重要です。
法令上、外部委託先に対する監査役の監査権限は確保されていませんので、可能な限り監査役の要求に応えることが求められます。

 

評価・改善活動

外部委託管理責任者は、外部委託管理態勢の改善を図るため、その機能状況を検証し、規程類、組織体制、情報伝達体制、研修、モニタリング方法等を適宜見直す必要があります。 コンブライアンス統括部門、事務リスク管理部門、内部監査部門等からの指摘を踏まえ改善策の立案・実施に取組むことは当然ですが、外部委託管理責任者が自ら所管業務の実態を把握し、能動的に問題点の改善を図る態勢を定着させることが重要です。
また、外部委託管理責任者は、自らの職務権限を超えるような重要な課題に対処するために、取締役会等への提言機会を確保することも大切です。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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