支払管理態勢

支払管理部門の管理者は、「支払管理規程」、「支払管理マニュアル」を整備し支払管理の迅速性・適切性を確保するための管理を実施します。

支払管理部門は、管理者の指揮の下、当該管理業務を実践します。

管理者の役割・責任

1.内部規程等の策定

支払管理規程及び支払管理マニュアルの整備・周知

管理者は、支払管理の迅速性及び適切性を確保する必要性重要性を十分に理解する必要があります。

顧客保護管理方針に則り、支払管理の迅速性及び適切性を確保するための取決めを明確に定めた内部規程「支払管理規程」を策定します。
策定した、顧客保護等管理方針及び支払管理規程に則り、支払管理において遵守すべき手続及び支払査定における判断基準「支払査定基準」等を明確に定めた業務細則「支払管理マニュアル」を策定します。
なお、支払管理規程及び支払管理マニュアルの策定等による業務プロセスの整備は、各種ガイドライン等の自主ガイドラインの内容を踏まえたものとします。

策定した支払管理規程は、リーガル・チェック等を経て、取締役会等を承認を受けた上、組織内に周知します。
また、支払基準のうち経営に重大な影響を与える又は保険契約者等の利益が著しく阻害される一切の事項について、リーガル・チェック等を経た上、取締役会等の承認を受けます。
なお、不払自由・契約解除自由の適用についての考え方やその代表事例については、契約者等の利益のために、十分に開示されていることが望ましいです。

リーガル・チェック等に関しては、コンプライアンス・チェックを含み、例えば、法務担当者、法務担当部署、コンプライアンス担当者、コンプライアンス統括部門又は社内外の弁護士等の専門家により内部規定等の一貫性・整合性や取引及び業務の違法性について、法的側面から検証することを言います。

支払管理規程及び支払管理マニュアルを分別する必要は必ずしもないことに注意します。
また、会社によっては、コンプライアンス・マニュアル等に一体化されている場合もありますので、これらの形式にこだわらず、記載すべき事項が漏れなく明文化され、必要のある者に周知徹底され、適切に管理されていることを検証します。

支払管理規程の内容

支払管理規程の内容は、業務の規模・特性に応じ、支払管理の迅速性及び適切性の確保について必要な取決めを網羅し、適切に規程する必要があります。
例えば、次の項目について明確に記載される等、適切なものとします。

  • 支払管理部門の役割・責任及び組織に関する取決め
  • 支払漏れ防止等のための支払部門間の連携・相互確認に関する取決め
  • 査定結果の妥当性の再検証ないし事後検証に関する取決め
  • 支払管理の状況のモニタリングに関する取決め
  • 支払管理の処理の記録等の保管に関する取決め
  • 新規商品等の承認・審査に関する取決め
  • 取締役会等に対する報告に関する取決め
  • コンプライアンス統括部門及び顧客サポート等管理責任者との間の連携・情報伝達に関する取決め

支払管理マニュアルの内容

支払管理マニュアルの内容は、会社の営む業務の内容及び方法に応じて、支払管理の具体的な手続及び査定基準等を網羅し、詳細かつ平易に規定されている必要があります。
例えば、次の点について、明確に記載する等適切な内容とします。

  • 支払請求の受付、確認を要する事項の調査、支払可否判断及び支払等の支払管理事務の処理に関する手続
  • 調査において確認すべき項目及び確認方法
  • 支払査定基準
  • 遅延利息の付加に関する基準
  • 支払管理の手続において顧客になすべき通知・連絡・案内・説明等の対象事項の特定及びそれらについての方法及び内容
  • 支払管理の関係で顧客からなされることが想定される問い合わせ・相談・要請等(事実の再確認や再査定の請求を含む。)に対する対応・回答等の方法及び内容
  • 法令や顧客保護等との関係から行ってはならない行為等(例えば、調査における違法なプライバシー侵害や不当な支払遅延)
  • 支払部門間の連携・相互確認の手続
  • コンプライアンス統括部門及び顧客サポート等管理責任者等に対する情報伝達の手続

2.態勢の整備

管理者による管理部門の態勢整備

管理者は、顧客保護等管理方針及び保険金等支払管理規程に基づき、迅速かつ適切な支払管理を行うため、支払管理部門の態勢を整備し、牽制機能を発揮させるための施策を実施します。
また、支払査定担当者の支払査定に関する能力・知識を向上させるために、研修・教育態勢を整備し、長期的な展望に基づく専門性を持った人材の育成を行います。

関係業務部門及び営業拠点等における支払管理に係る態勢の整備

管理者は、支払管理規程、支払管理マニュアル及びその他の支払管理に関する取決めを関係業務部門及び営業拠点等において支払管理を行う者に遵守させ、適切な保険金等支払管理を行うための態勢を整備し、その実効性を確保するための具体的施策を実施します。

指導・監督態勢

管理者は、支払管理事務を適時・適切に実施できるよう、関係業務部門及び営業拠点等に対して、適切かつ十分な指導・監督を行う態勢を整備します。

連絡・連携態勢

管理者は、支払管理事務の遂行上発見されたコンプライアンスに係る問題について、速やかにコンプライアンス統括部門等に報告する態勢を整備します。

支払管理に関するモニタリング態勢

管理者は、関係業務部門及び営業拠点等における迅速かつ適切な支払管理を確保するため、支払管理マニュアルの遵守状況等を継続的にモニタリングする態勢を整備します。

新規商品等に関する態勢整備

管理者は、新規商品等に関し、新商品開発部門等の要請を受けた場合、新規商品等管理方針や支払管理規程等に基づき、事前に当該新規商品等に関する規制、内部規定等を調査し、顧客保護等の観点から生じうる問題点を洗い出した上、新規商品開発部門等に報告する態勢を整備します。

取締役会等への報告態勢

管理者は、定期的に又は必要に応じて臨時、取締役会等に対し、取締役会等が設定した報告事項を報告する態勢を整備します。
特に経営に重大な影響を与える又は顧客の利益が著しく阻害される事案については、取締役会等に対し速やかに報告しなければいけません。
なお、取締役会等への報告については、具体的な手続、内容を書面で明確にする必要があります。定期報告事項は、書面の雛形を作成し、報告頻度を定めることが望まれます。
さらに、緊急連絡を要する事項、方法(電話連絡、Eメール等による書面の配布、会議の臨時招集等)についてもあらかじめ定めておく必要があります。

監査役への報告態勢

管理者は、取締役回の決定事項に従い、監査役へ直接報告します。

3.評価改善活動

支払管理部門の管理者は、支払い管理態勢の改善を図るため、その機能状況を検証し、規程類、組織体制、研修・指導、モニタリング方法等を適宜見直す必要があります。

コンプライアンス統括部門、内部監査部門等からの指摘を踏まえ改善策の立案・実施に取り組むことは当然ですが、管理者が自ら所管業務の実態を把握し、能動的に問題点の改善を図る態勢を定着させることが重要です。
また、管理者は、自らの職務権限を超えるような重要な課題に対処するために、取締役会等への提言機会を確保することも大切です。

 

支払管理部門の役割・責任

1.支払管理に係る具体的施策等の実施

支払管理部門は、管理者の指揮の下、支払管理の迅速性・適切性を担保し、各業務部門や営業拠点等の担当者が適切な支払管理を実施できるようにするために、支払管理規程、支払管理マニュアル等の通知方法の工夫(通知書の配布、Eメール送信、イントラネットへの掲示等)や研修の実施等に取り組むことが求められます。

2.連絡・連携の実施

支払管理部門は、支払管理事務の遂行上発見したコンプライアンスに係る問題について、速やかにコンプライアンス統括部門等に報告する必要があります。

また、内部監査部門、コンプライアンス統括部門及び顧客サポート等管理責任者等との連携により内部監査結果、不祥事件、相談・苦情等で把握した問題点について、必要に応じて見直し、改善します。

3.支払管理に関するモニタリングの実施

支払管理部門は、関係業務部門及び営業拠点等において、支払管理マニュアルの規程に準拠した事務運営が確保されていることについて、異例処理・事故等の発生状況、自店検査・内部監査結果の把握・分析等を通じ、継続的なモニタリングを実施する必要があります。

4.新規商品等に関する取扱

支払管理部門は、管理者の指揮の下、新規商品等の取扱い開始前に、当該新規商品等について、支払管理の観点からの検証を行う必要があります。これらの検証について、営業推進部門からのプレッシャーによる形骸化等の弊害が適切に防止されなければなりません。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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