個別の問題点−中小・零細企業等に対する経営相談・経営指導を通じたリスク管理

【金融検査マニュアルにおけるチェック項目】

(ⅰ)小・零細企業等である与信先については、その特色を踏まえてきめ細かな与信管理等を行っているか。例えば、以下のような対応を行っているか。

  • 継続的な企業訪問等を通じて企業の技術力・販売力や経営者の資質といった定性的な情報を含む経営実態の十分な把握と債権管理に努めているか。
  • きめ細かな経営相談、経営指導、経営改善計画の策定支援等を通じて積極的に企業・事業再生に取り組んでいるか。
  • ビジネスマッチングやM&Aに関する情報等、当該金融機関の情報機能やネットワークを活用した支援に取り組んでいるか。
  • ライフサイクル(創業・新事業支援、経営改善支援、事業再生、事業承継)に応じた各段階においてきめ細かい支援に取り組んでいるか。
  • 事業価値を見極める融資手法をはじめ中小企業に適した資金供給手法の徹底に取り組んでいるか。

(ⅱ)小・零細企業等に対する与信に関しては、総じて景気の影響を受けやすく、 一時的な要因により債務超過に陥りやすいといった中小・零細企業等の経営・財務面の特性を踏まえ、与信先の経営実態を総合的に勘案した信用格付等の与信管理を行っているか。

(ⅲ)スコアリング・モデルを用いたビジネスローン等について延滞が発生した場合に、経営改善の方策に係る協議に応じることなく、機械的に債権回収や債権売却を行っていないか。
また、ビジネスローン等からの撤退等に当たっては、債務者の置かれた状況を掛酌し、必要に応じて代替的な資金供給手段を検討しているか。

(ⅳ)担保割れが生じた際に、合理的な理由なく、直ちに回収や金利の引上げを行っていないか。

(ⅴ)経営改善支援先については、経営改善計画の進捗状況を適切に把握し、必要に応じて経営相談・経営指導等を行う等、経営改善に向けた働きかけを行っているか。

(ⅵ)短期貸付の更新継続をしている貸出金(手形貸付を含む。)について、更なる借換えを行えば貸出条件緩和債権に該当する場合、安易に顧客の要望を謝絶することなく、適切に経営改善計画等の策定支援等を行っているか。

(ⅶ)債務者が大部で精徹な経営改善計画等を策定していないことを理由に、貸付条件の変更等の申込みを謝絶していないか。

本チェック項目は、金融円滑化法施行に伴い同法の制度趣旨に合致したチェック項目となっています。
なお、中小・零細企業等に対する経営相談・経営指導及び経営改善計画の策定支援等の取組に関する留意すべき点を挙げています。

(ⅰ)債務者に対するきめ細やかな与信管理

継続的な企業訪問等を通じて企業の技術力・販売力や経営者の資質といった定性的な情報を含む経営実態の十分な把握と債権管理に務めることや事業価値を見極める融資手法をはじめ中小企業に適した資金供給手法の徹底に取り組むこと等が求められています。
さらに、ライフサイクルに応じた各段階におけるきめ細かい支援の具体的な手法例及び中小企業に適した資金供給手法の徹底に係る具体的な手法例が記載されています。

(ⅱ)経営実態の総合的な判断

短期的な視点のみで中小・零細企業の業績を判断するのではなく、経営者の仕振り、取扱商品、業界そのものの成長性、法人・経営者個人の財産の状況、これまでの取引実績(返済実績)等の総合的に勘案の上、金融円滑化法の趣旨を踏まえた対応が求められます。

(ⅲ)ビジネスローン等の延滞発生時の対応

ビジネスローン等について、延滞が発生した場合においても、債務者を交えて、今後の経営改善の方策に係る協議を行う等コンサルティング機能を十分に発揮し、機械的な対応ではなく、必要な手段の検討を行うことが求められています。

(ⅳ)担保割れ発生時の対応

担保割れが生じた際にも、(ⅱ)と同様に、一時的に担保割れした事実をもって即時回収に走ったり、金利の引き上げを行うのではなく、コンサルティング機能を十分に発揮して、当該中小・零細企業の状況の改善に資する策を講じる手助けをする等金融機関としての社会的責任を果たすことが求められています。

(ⅴ)経営改善計画の進捗状況の把握

経営改善支援先については、経営改善計画の進捗状況の適切な把握及び経営改善に向けた働きかけを行うことが求められています。

(ⅵ)短期貸付の更新継続時の支援

短期貸付の更新継続をしている貸出金について、さらなる借り換えを行えば貸出条件緩和債権に該当する場合における経営改善計画等の策定支援について、貸出条件の変更等の申込みを安易に謝絶するのではなく経営改善計画の策定支援を行うなどの対応が求められています。

万が一謝絶する場合には、合理的な理由が必要となり、かつ事後的に事跡が確認できるよう具体的に記録しておくことが求められます。

(ⅶ)経営計画の作成精度による貸付条件の変更等の申し込み判断

債務者が策定した経営改善計画等が精緻でないことを理由に貸付条件の変更の申込みを謝絶するのではなく、経営計画等の策定支援を行うなどのコンサルティング機能の発揮が求められています。

万が一謝絶する場合には、合理的な理由が必要となり、かつ事後的に事跡が確認できるよう具体的に記録しておくことが求められます。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

コンサルティングのご依頼などサービスの詳細は、次のバナーをクリックしてください。  

コメントを残す