コンプライアンス統括部門の役割・責任

コンプライアンス統括部門は、次のような機能を担い、各業務部門等に配置されたコンプライアンス担当者の役割を理解する必要があります。

  • コンプライアンス・プログラムの実施
  • 法令等遵守に関するモニタリング
  • 法令等違反行為への対処
  • 顧客サポート等管理責任者等との連携

コンプライアンス・プログラムの実施

コンプライアンス統括部門は、コンプライアンス・プログラムを自ら実施するとともに、関係部署にも実施させ推進・管理する責務を負っています。
コンプライアンス・プログラムの内容には、コンプライアンス統括部門自ら実施する項目と他の各部門等に行わせる項目とが想定されますが、それらの進捗状況・達成状況を確認し、取締役会等に報告しなければなりません。

 

連絡・情報収集の実施

会社全体の法令等遵守の徹底を図るためには、社内の様々な部署に散在する法令等遵守に関する情報(例えば、顧客からの苦情、営業社員の勤務状況、不祥事件に関する調査報告、保険契約継続の状況、経費支出状況等の法令等遵守に関する問題を適時かつ的確に認識するために必要となる情報)を一元的に収集、管理、分析、検討して、その結果に基づき適時に適切な措置・方策を講じることが必要不可欠です。

また、各業務部門等に配置されたコンプライアンス担当者とは、密接な連携を図り、情報収集を行う必要があります。

 

法令等遵守に関するモニタリングの実施

コンプライアンス統括部門は、コンプライアンス状況を継続的にモニタリングする必要があります。
モニタリングでは、各業務部門等の業務の実態がコンプライアンスの観点から見てどうなのか把握することが重要となります。
定期的な報告の内容と現場の実態が乖離していないか、役職員のコンプライアンス意識はどうなのか、アンケートや実地調査・ヒアリング等、様々な手法を用いつつ、現場に過度の負担を与えないよう配慮し、実施する必要があります。

 

法令違反行為への対処

1.事実確認

法令等違反行為の疑いがある事象が判明した場合、直ちに事実確認を行う必要があります。
事実確認は、次の2つの観点から行います。

  • 当該行為の有無
  • 問題点の有無

事実確認は、コンプライアンスコンプライアンス統括部門が行う場合、内部監査部門の特別調査による場合などが想定されます。「事件と利害関係がない部署」が実施することがポイントになります。さらに、コンプライアンス態勢上の弱点の有無についても確認する必要があります。

2.報告と届出

事実確認の結果、「法令等違反行為に該当すると判断した事象」、「法令等違反行為に該当する恐れが強いと判断した事象」について、管理者、関係各部へ報告するとともに、事案の性質に応じて監督当局などへの届出の要否を検討します。

【検討すべき事項】

  • 法令上求められる不祥事件の届出の要否
  • 疑わしい取引の届出の要否
  • 適時開示の要否

3.調査と分析

コンプライアンス統括部門は、法令等違反行為又はそのおそれが強いと判断した事象について、次の項目を調査分析を実施します。

  • 背景
  • 原因
  • 影響の範囲
  • その他

実施後、各業務部門等の管理者へ結果を還元するなど、再発防止のための措置を講じる必要があります。

 

顧客サポート等管理責任者等との連携

コンプライアンス統括部門は、単に顧客サポート等管理責任者等から相談・苦情等の情報を入手する一方通行の受け身の態勢であってはならず、顧客サポート等管理責任者等への適切な助言を行うなどの働きかけを行うことがポイントとなります。

例えば、顧客からの相談・苦情等について、迅速にかつ幅広く情報を取得し、情報の中で法令等違反行為に関する情報が含まれている場合は、情報を保有する部門、部署、個人等から適切に情報を報告させ、取得し、分析・検討の上、顧客サポート等管理責任者等に還元します。
また、相談・苦情等の中で、必要とする判断する事案については、利害関係のない者による適切かつ十分な調査により原因究明を図ります。

 

コンプライアンス担当者の役割

各部署に配置されたコンプライアンス担当者の役割として、次の役割が挙げられます。

  • 当該部署におけるコンプライアンス関連情報の集約
  • コンプライアンス統括部門への伝達
  • 当該部署における法令等遵守の取組の実施

なお、コンプライアンス担当者による報告・連絡態勢に関して、コンプライアンス担当者が少なくともコンプライアンス統括部門や管理者に対してレポートを行う態勢が想定されていますが、それ以外にもレポーティング・ラインを持つことも可能となっています。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

コンサルティングのご依頼などサービスの詳細は、次のバナーをクリックしてください。  

コメントを残す