試査

従来の社内検査では、検査対象取引の全件チェックを実施することが一般的でした。
しかし、内部監査においては、効率性を重視する観点から、基本的に「試査」のアプローチを適用します。

「試査」とは、特定の監査手続の実施に際し、母集団からその一部の項目を抽出して、それに対して監査手続を実施する抜き取りチェックのことです。
「試査」には、「サンプリングによる試査」と「特定項目抽出による試査」の2種類があります。

サンプリングによる試査

「サンプリングによる試査」とは、一部の項目に対して監査手続を実施した結果をもって、母集団全体の一定の特性を評価する目的をもつものです。
例えば、営業店における入出金伝票や市場関連部門におけるディーリング・スリップ(銀行や証券会社等が自己の勘定で有価証券や外国為替の取引を行った明細)等、多数・同質の取引に関する証憑から所定の件数を抽出し、それらに対して処理の妥当性・正確性を検証することで、入出金伝票やディーリング・スリップ全体の処理の妥当性・正確性を推測するものです。
抽出したものの中になぜか問題が発見された場合、さらに追加抽出して問題がないか確認したり、全体に占める重要性を考慮したりして、母集団の信頼性の程度を推測することになります。

サンプリングによる試査には、「統計的サンプリング」と「非統計的サンプリング」があります。

統計的サンプリング

サンプルの抽出の際に無作為抽出法を用いて行いサンプルの監査結果に基づく母集団に関する結論を出すに当たり、確率論の考え方を用いるものです。

非統計サンプリング

統計的サンプリングに該当しないやり方によるものです。例えば、統計的な手法によらずに内部監査の担当者の判断を加味してサンプル抽出する場合などが挙げられます。

 

サンプリングの役割

現状、内部監査において、統計的サンプリングの手法を厳密に適用して実施されているケースは、多くありません。
今後、監査手法の高度化を進めていく上では、抽出したサンプルが母集団の特性を維持しているのかどうか、サンプル数の妥当性やサンプリング・エラー(第1種のエラー、第2種のエラー)の扱いについて、統計学の理論的な理解を深めていく必要があります。

※第1種のエラー:正しい帰無仮説H0を誤って棄却すること
※第2種のエラー:正しくない帰無仮説H0を棄却できないこと

特定項目抽出による試査

「特定項目抽出による試査」とは、母集団全体の特性を評価する目的をもたない試査です。

特定項目とは、母集団に含まれる特定の項目、例えば、金額の重要な項目、潜在的に誤謬を含む危険性の高い項目、誤謬が存在するとすればその影響の大きい項目等のことです。

また、特定項目抽出による試査は、母集団に含まれる特定の項目が母集団全体の金額の大部分を占める場合にも適合します。
例えば、特定項目抽出による試査は、貸出金残高から上位10社を抽出して確認という監査技術を適用する場合、抽出されなかった債務者に対する貸出金残高に含まれる誤謬の累積額が重要な問題とならないことを前提として実施されます。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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