自己査定の枠組み

自己査定とは

金融検査マニュアルでは、資産査定及び自己査定について、次のように定義しています。

資産査定とは、金融機関の保有する資産を個別に検討して、回収の危険性又は価値の穀損の危険性の度合いに従って区分することであり、預金者の預金などがどの程度安全確実な資産に見合っているか、言い換えれば、資産の不良化によりどの程度の危険にさらされているかを判定するものであり、金融機関自らが行う資産査定を自己査定という。自己査定は、金融機関が信用リスクを管理するための手段であるとともに、 適正な償却・引当を行うための準備作業である。

以上のとおり、自己査定は、金融機関自らが「金融機関の保有する資産」を区分することですので、自己査定の対象には、貸出金等の債権、有価証券、デリバディブ取引及びその他の資産が含まれます。

その資産を「回収の危険性又は価値の毀損の危険性の度合いに従って」区分することになります。
自己査定のおける分類区分は、Ⅰ分類〜Ⅳ分類のⅣ段階です。
債券の分類を行う中間段階での「債務者区分」と「自己査定における分類区分(資産区分)」を混同しないようにしましょう。
金融検査マニュアル資産査定管理態勢の確認検査用チェックリストの「別表における留意事項」では、次のように記述されています。

  1. 「債務者区分」とは、債務者の財務状況、資金繰り、収益力等により、返済の能力を判定して、その状況等により債務者を正常先、要注意先、破綻懸念先、実質破綻先及び破綻先に区分することをいう。

  2. 自己査定において、Ⅱ、Ⅲ及びⅣ分類に分けることを「分類」といい、Ⅱ、Ⅲ及びⅣ分類とした資産を「分類資産」という。
    また、Ⅱ、Ⅲ及びⅣ分類としないことを「非分類」といい、分類資産以外の資産(Ⅰ分類資産)を「非分類資産」という。
  3. 「債券区分」とは、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号。以下「金融機能再生緊急措置法」という。)第6条第2項の規定により、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律施行規則」(平成10年金融再生委員会規則第2号。以下「金融機能再生緊急措置法施行規則」という。)第4条に定める資産の査定の基準に基づき、債権を債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として正常債権、要管理債権、危険債権、破産更生債権及びこれらに準ずる債権に区分することをいう。
  4. 自己査定における基準日

    基準日は決算期末日である必要があるが、実務上、仮基準日を設けて自己査定を行っている場合には、仮基準日は原則として決算期末日の3カ月以内となっているかを検証する。
    なお、債務者の状況の変化に応じて、適宜、信用格付、債務者区分及び分類区分等の見直しを行っている場合は、信用格付等の見直しが適時適切に行われているかを検証する。

 

自己査定における分類区分

先の「別表における留意事項」では、Ⅳで自己査定における分類区分の定義について次のように規定しています。

自己査定においては、回収の危険性又は価値の毀損の危険性の度合いに応じて資産をⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの4段階に分類する。

  1. Ⅰ分類は、
    「Ⅱ分類、Ⅲ分類及びⅣ分類としない資産」であり、回収の危険性又は価値の毀損の危険性について、問題のない資産である。
  2. Ⅱ分類は、
    「債権確保上の諸条件が満足に満たされないため、あるいは、信用上疑義が存在する等の理由により、その回収について通常の度合いを超える危険を含むと認められる債権等の資産」である。
    なお、Ⅱ分類とするものには、一般担保・保証で保全されているものと保全されていないものとがある。
  3. Ⅲ分類は、
    「最終の回収又は価値について重大な懸念が存在し、したがって損失の可能性が高いが、その損失額について合理的な推計が困難な資産」である。
    ただし、Ⅲ分類については、金融機関にとって損失額の推計が全く不可能とするものではなく、個々の資産の状況に精通している金融機関自らのルールと判断により損失額を見積もることが適当とされるものである。
  4. Ⅳ分類は、
    「回収不可能又は無価値と判定される資産」である。
    なお、Ⅳ分類については、その資産が絶対的に回収不可能又は無価値であるとするものではなく、また、将来において部分的な回収がありえるとしても、基本的に、査定基準日において回収不可能又は無価値と判定できる資産である。

 

自己査定プロセスの概念

自己査定の対象には、貸出金等の債権、有価証券、デリバディブ取引及びその他の資産が含まれます。
特に、金融機関における実際の自己査定作業で中心となる「債権の自己査定」について、個別項目の説明に入る前にそのプロセスの概観を示すと次のとおりとなります。

【債権の自己査定プロセス】

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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