対象の市場を絞り込む

市場を細分化する(セグメンテーション)

環境分析の結果を踏まえて、事業を展開する市場設定していきます。
大企業のように経営資源が豊富にあるならば、対象の市場を広くすることもできますが、
基本的には、対象の市場を絞り込み集中していくことが必要となります。
集中するためには、市場を細分化し、対象とするセグメントを絞り込む必要があります。
そして、自社のポジションを競合他社と重複しないユニークな立ち位置を設定していく必要があります。

セグメンテーションのパターン

セグメンテーションの例としては、次の変数があります。

地理的変数(ジオグラフィック変数)

地理的(地方、市区町村又は特定のエリア)に分割する方法です。
例えば、若者が多く集まる地域に限定してセグメンテーションを行うなどです。

人口動態変数(デモグラフィック変数)

年齢、性別、職業、社会的階層などの人に関わる事項で分割する方法です。
例えば、男性向けと女性向けの商品に分けることや、シニア向けに絞った展開を行うなどです。
人口動態変数でセグメンテーションするメリットは、市場規模や動向が比較的把握しやすく他の変数と比較して
分割しやすいことがあります。

心理的変数(サイコグラフィック変数)

お客さまの心理的側面(価値観、性格、好みなど)に関わる事項で分割する方法です。
例えば、資産運用でリスクを取ってリターンを狙うお客さまとリスクを押さえて元本を確保することを
重視するお客さまに分けて商品を展開するなどです。

行動変数

お客さまの行動パターンに関わる事項で分割する方法です。
例えば、ある商品を購入されたお客さまは、別の特定の商品についても購入される傾向があるなどです。
これらの変数を元に市場を細分化していきますが、次の点に注意して細分化を行う必要があります。

市場細分化の注意点

お客さまにアプローチできるか(到達可能性)

市場を限定することで対象のお客さまに対して限定したメッセージを届けることができる反面、
対象の細分化しすぎて対象のお客さまがいない状態になっていないことがあります。
対象のお客さまがいない状態では、伝えたいメッセージが伝えられないことになりますので
セグメンテーションが間違っていることになります。

市場の情報が測定できるか(測定可能性)

セグメントした市場の規模や購買力が把握できなければ、
そもそも細分化が妥当な細分化であるのか判断ができません。
ある程度把握できなければ、ビジネスを行うことの妥当性を検討できなくなります。

最低限の規模があるか(実質性)

お客さまが少なすぎるのも問題です。
お客さまは存在するものの極端に少ない場合、利益は見込めません。
事業として成立するだけの最低限の規模や収益が見込めるだけの市場である必要があります。

実行できるか(実行可能性)

そもそも細分化した市場に対して、ビジネスが展開できないと意味がありません。
市場細分化の規模が大きすぎる場合、対応する経営資源が不足するなどしていては、
そもそも実行することができなくなってしまいます。

 

細分化した市場の選択(ターゲッティング)

市場が細分化ができれば、実際にビジネスの対象とする市場を選択していきます。
市場を選択するパターンとしては、次のパターンが考えられます。

市場の選択パターン

単一セグメント集中化

特性の製品で特定の市場に集中し、対象の市場での地位確立を狙うものになります。
ニッチな戦略であり、経営資源を分散させることなく効率的な展開ができる反面、
当該市場で問題があった時のリスクが一番高いです。

選択的特定化

複数の商品、サービスをそれぞれ異なる市場に展開するものになります。
それぞれの市場である程度の収益が見込める場合に選択します。
また、リスク分散が可能となります。

市場特定化

同じ市場に複数の商品を展開するものになります。
特定のお客さまにアプローチするため、関係性の強化に効果が期待できます。

製品特定化

同じ商品、サービスを複数の市場に展開するものになります。
同じ商品、サービスを展開するため、ブランド構築に効果が期待できます。

全市場カバー

すべての市場に展開するものになります。
主に大企業が豊富な経営資源を利用し行うものです。

 

競合と異なる位置をとる(ポジショニング)

市場における自らのビジネスが競合他社と比較して、相対的にどの位置づけであるかを分析します。
分析の結果を踏まえて、競合他社がポジショニングしている位置とは異なる独自のポジションを築くことで
差別化を図ることが重要です。
市場における地位のパターンとしては、次の4つパターンになります。

市場における地位

マーケット・リーダー

特定の業界でトップシェアを獲得している企業となります。
全方位前略をとり、周辺需要を拡大することでさらなる規模の拡大を目指します。
なお、トップシェアを獲得しているため、値下げによる利益への影響が大きいことから非価格対応をとります。
また、最適なシェアを維持することで利益を最大化を図ります。

他社の新たな戦略に対しては、豊富な経営資源を利用し、同質化することで差別化を無効にする対応をとります。

マーケット・チャレンジャー

業界における2、3番手に位置づく企業となります。
リーダーに挑戦し、トップシェアを狙う企業です。
シェアの拡大を図るため、同業他社の弱点を突くなどしてシェアの拡大を図ります。
リーダーにできないことを行い差別化戦略をとります。

マーケット・フォロワー

業界における2、3番手以下の起業となります。
トップシェアを取ることは狙わずに競合他社の戦略を模倣し、製品開発コストを抑えることで高収益を目指します。

マーケット・ニッチャー

獲得シェアはたかくありませんが、すきま市場(ニッチ市場)で独自の地位を確立しようとする企業です。
扱う商品、サービスや価格帯、販売チャネルを限定し、専門化することで特定市場のミニリーダーとなることで
収益を高めることを目指します。

 

競合他社との相対的な地位

次に、現在の市場における競合他社の製品、サービスと自社製品、サービスとの相対的なポジションを分析していきます。
その際に有効なのがポジショニングマップになります。
ポジショニングマップは、ポジション分析の基となるための「軸」を2つ決めて、それを組み合わせることで二次元のマップを
作成します。そして作成したマップに競合他社と自社の相対的な位置づけを行っていきます。


ポジショニングマップを利用する際のポイントは、軸の設定になります。
軸の設定を間違うと競合他社と自社のポジションを正確に分析することはできません。
そのため、軸を決定する際の要素がポイントとなります。
それは、お客さまが商品やサービスを決める際の次の要素になります。

  • 製品、サービスの特長(価格、性能、デザイン、用途)
  • 製品、サービスがもたらす未来(ベネフィット)
  • 製品、サービスに対するイメージ
  • 製品、サービスが対象とするお客さまの属性(年齢、所得、性別、家族の有無)

また、2つの軸は、似たような軸を設定してはいけません。
一次元のマップになってしまうため、異なる特性の軸を選択する必要があります。
軸が設定できたら、競合他社の位置をマップに記載していきます。
そうすると、競合他社が位置付けていないポジションが見えてきます。
そのポジションは、競合他社と差別化したポジションになります。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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