特定取引関連(特定取引勘定設置金融機関の場合)

特定取引の実施に際して、求められる要件を解説します。

【金融検査マニュアルのチェック項目】

  1. 区分経理において恣意性を排除し透明性を確保する観点から、取締役会等において明確な内部規定等を制定し、継続的に使用することが必要であり、上記Ⅲ.7.①に加え、少なくとも以下の項目について定めているか。
    また、当該内部規定等は、重要な規定として取り扱い、その変更に際しても制定の際に準じた手続をとっているか。
    イ.府令上の「特定取引目的」の定義に基づく、区分経理に係る明確な
      運用ルール
      ・特定取引目的の定義
      ・取引目的による明確な組織区分(ユニット単位による人的な区
       分)と独立した意思決定権限
      ・特定取引を行う組織とそれ以外の組織との間のディーラーの兼務
       の制限
      ・勘定間の振替の禁止(ただし、法令に基づき当局に届出した範囲
       内で行う場合を除く。)
      ・特定取引有価証券の取引相手のマーケットへの限定やヘッジ目的
       の認識
     ロ.特定取引を行う部門の管理者の権限及び義務
     ハ.内部規定等の順守義務及び変更手続
     ニ.内部取引を行う場合のルールと管理の方法
      ・内部取引の定義及び対象
      ・内部取引を行う場合の基本方針
      ・フロント組織から独立した他の組織による内部取引の承認
      ・内部取引を行う場合の承認手続及び保存書類
     ホ.委託取引を行う場合のルール

銀行等の特定取引勘定の設置は、平成13年12月より認可事項から届出事項へ変更されています。
現在は、銀行業法施行規則13条の6の3で特定取引勘定について規定されており、また、特定取引勘定に関する届出(設置、取引種類変更、廃止)は、銀行法53条1項8号の「その他内閣府令で定める場合に該当するとき」の届出事項として、銀行法施行規則35条1項6号の3(設置)、6号の4(廃止)、18号(変更)、19号(外国銀行支店の場合)に規定されています。

  • 「区分経理」とは
    特定取引(トレーディング)勘定と非特定取引(バンキング)勘定を区分して経理することです。
  • 「特定取引目的」とは
    上記の銀行法施行規則13条の6の3第2項に掲げられた「銀行が金利、通貨の価格、金融商品市場における相場その他の指標に係る短期的な変動、市場間の格差等を利用して利益を得る目的又は当該目的で行う取引により生じ得る損失を減少させる目的」をいいます。
  • 「勘定間の振替の禁止」とは
    銀行法施行規則13条の6の3第3項に定められた事項です。
  • 「内部取引」とは
    自社の特定取引勘定と非特定取引勘定の間で行う取引です。
    特定取引勘定の届出に際して、内部取引の取扱に関する事項を記載した書面を提出する必要があります(施行規則35条5項1号二)。

【金融検査マニュアルのチェック項目】

①組織及び人員の分離
 特定取引勘定に係る取引を行う組織(少なくともいわゆるフロント機能を有する組織)は、ユニット(例えば、室、課、グループ等)単位以上の組織として、同様の取引を行うが取引目的が異なる非特定取引勘定に係る取引を行う組織とは組織的にも、また、人的にも別に構成していることが望ましい。
 なお、特定取引及びその対象となる財産がその他の取引及び財産と客観的かつ明確に区別されており、経理操作のおそれがないと認められる場合(例えば、特定取引部署で特定取引に列挙した取引以外の取引を併せ行う場合など)には、必ずしもこの組織区分は求めない。

③帳簿の管理
 特定取引勘定に係る帳簿は、特定取引及びその対象財産とその他の取引及び財産を明確に区別して管理することができるものとなっているか。

④特定取引勘定に係る取引を行う組織における非特定取引勘定に係る取引の禁止
 特定取引勘定に係る取引を行っている組織において、非特定取引勘定に係る取引を行っていないか(その逆も)。
 (ただし、特定取引及びその対象となる財産がその他の取引及び財産と客観的かつ明確に区別されており、経理操作のおそれがないと認められる場合を除く。)

⑤恣意的な勘定選択の禁止
 本来、非特定勘定で処理すべき取引について、マーケット・リスク対策等の理由により特定取引勘定における取引として処理するなど、恣意的に勘定を決定していないか。

⑥内部取引の適正性
 同一金融機関内における内部取引については、会計制度の違いを利用した損益の計上がなされ得るため、恣意的取引を排除する観点から、内部取引は、特定取引勘定設置の届出をした際の「内部取引を行う場合の取扱に関する事項を記載した書類」(又は特定取引勘定に関する内部規定)等に沿って適正に行っているか。

⑦時価算定の客観性の確保
 特定取引勘定における時価算定の客観性を確保するため、内部管理の際の留意点として特に以下の項目が含まれているか。
イ.府令で限定された取引範囲に違反していないか。
  (取引所取引、有価証券関連取引、金銭債権の取得及び譲渡は、勘定間
  取引ができない)
ロ.内部取引が時価により行われるなど、内部規定等に基づき適切に行われ
  内部牽制が効果的に発揮されているか。
ハ.内部取引であることが伝票上明示され、区分保管されているか。
二.意図的な損益調整が行われていないか。

⑧情報開示
 ディスクロージャーの観点から、適切な区分経理、客観的な時価の把握・管理について以下の項目を開示しているか。
イ.特定取引勘定の枠組み
  (「特定取引目的の取引」の定義、具体的な対象商品、組織区分等)
ロ.時価の客観性確保手段等
ハ.特定取引勘定に係る財務情報

ここで挙げられているように、特定取引(トレーディング)勘定と非特定取引(バンキング)勘定は、組織及び人員、帳簿、ならびに取引自体を明確に区分しなければなりません。
また、特定取引勘定に関しては、時価算定の客観性の確保ならびに情報開示が求められています。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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