コンプライアンス態勢のフレームワーク

経営陣は、適切なコンプライアンス態勢を確立するために主体的に取り組む必要があります。
また、検証・是正対応を確実に実行し、コンプライアンス態勢の継続的な改善を図ることが重要となります。

基本的な考え方

各検査マニュアルの公表によって各企業では、コンプライアンス担当の設置、コンプライアンス・マニュアルやコンプライアンス・プログラムなどの整備が進められ、現在では形式的にはひととおりのコンプライアンス態勢が存在していると考えられます。
しかし、顧客への不適切な対応(サービスの不適切な説明、データの改ざんなど)等が後を絶ちません。
各企業は、改めて自社のコンプライアンス態勢が形式だけのものになっていないかを見直してみる必要があります。
すなわち、自社のコンプライアンス態勢が適切に整備され有効に機能しているか、運用面で問題がないのかという点を厳しく問い直す必要があります。

コンプライアンス態勢に不可欠な要素として次の2点が重要です。

  • 経営陣が「誠実さ」を持ち、コンプライアンスの本質を理解して、コンプライアンス態勢づくりに主体的に取り組むこと
  • コンプライアンスの意味と重要性を全ての役職員に認識・理解させ、実践させる具体的な「メカニズム(仕組み)」を作り込むこと

1.コンプライアンスと経営陣の重要性

コンプライアンス態勢の整備、確立には、経営陣の役割が重要になります。
これは、過去の大きな不祥事件において取締役会、経営トップ、担当役員などの経営陣が、コンプライアンスで求められる取締役本来の役割を果たしていなかったことによるものです。
また、コンプライアンスは企業風土(文化)に大きく依存しますが、そうした企業風土は、経営トップの姿勢(tone at the top)によって形成されます。そのような意味で、コンプライアンス態勢の整備、運用において経営トップをはじめとする経営陣の役割が極めて重要になります。

参考

バーゼル銀行監督委員会の報告書「コンブライアンスおよび銀行のコンブライアンス機能」(2005年4月)では、「コンプライアンスはトップから始まる。コンブライアンスは、正直さと誠実さの基準が重視され「取締役会と上級管理職が範を示すような企業文化において最も効力を発揮する」として、経営陣の誠実さ(インテグリテイ)、経営陣の役割・姿勢の重要性を第一に示しています。

2.コンプライアンスを徹底させる仕組み作り

コンプライアンス(法令等遵守)態勢の整備に関する重要な点は、有効な統制と是正プロセスの整備と機能化が挙げられます。

コンプライアンスの難しさは、たとえ少数の不心得者が問題を起こした場合でも、会社全体がコンプライアンスに問題のある会社という評価を受けかねないことです。その意味でも、役員から現場の担当者に至るまで、コンプライアンスを徹底させる強制力を持った仕組み(メカニズム)を整えることが重要なのです。
この仕組(メカニズム)の一つは、「内部統制」のプロセスであり、次のようなコンプライアンス態勢の仕組みそのものが内部統制になっています。

コンプライアンス態勢の仕組みの事例

  • コンプライアンスの方針や計画の策定
  • 方針や計画に基づく倫理綱領、行動規範、社内規程、コンプライアンス・マニュアルなどの整備
  • 業務においてこうした規範やルールが理解され、実践され、遵守されているか
  • 様々なコンプライアンス上の問題が的確、迅速に経営陣をはじめとして関係部署へ報告・伝達されているか
  • コンプライアンス態勢の機能状況、役職員の行動規範の実践状況、遵守状況がモニタリング(監視)されているか
  • 問題の改善が適切になされているか

 

コンプライアンスのフレームワーク

自社におけるコンプライアンス態勢の構築、あるいは評価の参考となる「一般に確立されたコンプライアンスのフレームワーク」として、COSOの内部統制のフレームワークがあります。
フレームワークが記載されている主なマニュアル等には、次のものがあります。

  • バーゼル銀行監督委員会の報告書「コンプライアンスおよび銀行のコンプライアンス機能」
  • 保険検査マニュアルにおける法令等遵守態勢の確認検査用チェックリスト
  • ECS2000およびR-BEC001

 

態勢構築の基本的プロセス

「取締役など経営陣の役割」と「チェック・改善プロセスの重要性」というポイントを踏まえた上で、コンプライアンス態勢を確立するためには、次のようなフローを確立する必要があります。

記事製作者

中小企業診断士 湯谷 一夫

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